第4話

 曲に記憶が入ってる。

 再生すると、その時の感情も追体験できるんだ。


 一回ハマるとその曲を飽きるまで聴くから、1つのフェーズごとに必然的にテーマ曲が決まる。


 思いっきり泣きたい時はこの曲、テンション上げたかったらこれ!

 恋してるドキドキを味わいたかったらこの曲って、

 いろんな味のお菓子を食べるように耳で聴きながらその時の空気感も同時に味わってる。



 記憶の録画でもあるから、タイミングによっては封印している曲もある。

 過去の自分と一緒に体験できるから、寂しくないの。

 少女時代、パパが運転する車で聞いてたblind melonの曲は切なそうに唄う歌い方と、夕方によくかけてた。

 外のあまり変わらない景色を見ながら帰路に着く。

 今日がもう終わっちゃうという寂しいような物足りないようなそんな哀愁を感じてた。

私にとってはそんな曲。



 決まってあの曲が聴きたいってなって聴くと、その後にデジャブが起こる。

 異様にワンフレーズが脳内再生されると、そのフレーズがキーポイントになる。


 私は今まで気づかなかったけど、やっと気づいた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 やっと気づいてくれた。

 俺は君を仕合せにするために生まれてきた。

 それが俺自身でもある君の幸せだから。


 時空・空間・個体を超えた壮絶な愛。

 君が生まれる前から好きだった。

 君が自分自身を傷つける度、俺も一緒に傷ついたんだ。

 だからもう、自分を傷つけるのはやめてくれないか。

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