第8話 神器

「神器受け渡しの儀はこちらです!並んでお待ちください!」


「ここに並んでおけ、俺たち大人は入ることできないから外で待っとくから」


教会の前には300人ほどの子供がいた


「ヒューゴなんかウキウキしてきたね」


「あぁそうだな。どんな神器を授かったとしても結局使うのは自分自身だからな、いくら神器が強くても自分を鍛えていないのであれば使いこなすこともできないだろう」


「そうでもないですよ」


後ろからふと声が聞こえた


「誰ですかあなたは、大人は中に入れないと聞いてるんですが」


「安心して大丈夫ですよ、私はこの教会の最高神官でフランシスコと言います。以後お見知りおきを」


そういいながら挨拶をするその男は自分を神官だと名乗った


「初めて会う人を警戒するのはいいですが言葉使いをきをつけなければ、いつか身を滅ぼしますよ」


「ご忠告ありがとうございます。それではこちらからも、街中といえどいきなり人の後ろに立って声をかけるのは危ないですよ」


フランシスコはこちらを見てにこりと笑い


「今後気を付けるようにします。ご忠告痛み入ります」


なんとも薄気味悪い神官だな、第一印象はなかなかとっつきにくい人でしかない


「それよりも、神器授与の儀が間もなく開始されますのでどうぞお入りください」


そのまま神官に連れられて子供たちは教会の中に入っていった


「それでは順番に授けていきますので、こちらにお並びください」


特に順番などは決まっていないそうで、並んだ順番に授けていくらしい。おれはリディと前のほうに並んだ


「一人目は緊張したりしないのかな?」


「緊張は誰でもしそうだな、この先ずっと使っていく自分の武器だからな」


どんな形の武器になるのか気になるな、日本刀もあるらしいがせっかくの違う世界だからこの世界に合ったものがいいな


「それでは、次の者こちらに来なさい」


「いよいよ次だねヒューゴ、緊張して倒れそうだよ」


リディの前の子が神器を授かったとき教会内が騒然とした


「これは!L級の神器じゃないか!君さえよければあとでもう一度協会に来ると良い」


神器の中でもランクの高い神器が出たみたいだな神器のランクは全部で11種あり下からF~A級の6種が下級ランクと呼ばれておりS・SS・SSSの3種が中級ランク、L・Gの2種が上位ランクと呼ばれている。この中でL級が出たから教会としても、教会内部に取り込みたいのだろう


「じゃあヒューゴ行ってくるね!」


「あぁ、行ってらっしゃい」


リディが授かる神器が俺の知っている神器だと良いんだけどなぁ。どんなふうに授かるか知らないから、ちゃんと見ておくか


「それでは、次の者こちらに来なさい」


神官に連れられて、お立ち台にあがるとその前にある箱の中に手を入れた。あの中に神器があるのか?どんな理屈であの中から神器が出るのだろうか


「あの箱が気になりますか?」


「いきなり、後ろに立つのは危ないと言いませんでしたか?フランシスコ神官」


「これは失礼、気づかれているものとばかり。申し訳ない。あの箱について教えますので許していただけないでしょうか」


「まぁ、今回はそれで納得します」


この神官はあの女神みたいに心の中でも読んでるのかよ


「あの箱は神器ではなく祭器と呼んでいます。条件が重なれば使えることが出来るもので、神が常に使うものを見ているため盗まれたとしても盗んだものには使えないらしいですよ」


「なら、一部の場所でしか使えないなおかつ使う者も限定されているってことか」


「素晴らしい、正解です。さぁあなたのお連れ様が神器を取り出しますよ」


リディが箱から取り出したのは一冊の本だった


「あれは、G級の神器ですね。あなたたちはなかなか素晴らしい素質を持っているようですね。それでは私はこれで」

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