第22話
結局アリスへと昼飯を奢った僕はなぜか家に帰りたがらないアリスと共に買い物をするわけでもなくただただ街を散策していた。
そんな特に意味もない平和な時間を過ごしていた時だった。
「んっ」
僕はここより遥か上空より膨れ上がった謎のエネルギーに反応し、視線を遥か上空へと向ける。
「……ッ!?!?」
隣に立っているアリスも体を大きく震わせ、上空へと視線を向ける。
「ここ、かな」
僕は地面に落ちている小石を拾い、それを遥か上空へと投げつける。
圧倒的なステータスを持っている僕の投げる小石は銃弾が如き威力を発揮する。
「ヒット」
僕は遥か上空より聞こえてくるかすかな音を捉え、自分の投げた小石が敵にぶつかったことを確信する。
「縺弱c縺√=縺√=縺√=縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺」
甲高い、人間の脳が解読することをひどく拒む不快な声が響き、雨のように緑色の液体が降ってくる。
「逃げた方が良いよ」
僕は悲鳴を上げる民衆たちに向かってそう告げる。
だが、僕の声は小さかったようで、民衆たちは動き出さない。
「みんな逃げてッ!!!」
大きな声を出さなきゃダメかなぁ……と思っていたところ、アリスが僕の代わりに大きな声を上げる。
「ど、どうするの!?アークライト!?」
彼女も一流の冒険者。
こちらに近づいてきているやばい気配に気づいているのだろう。
「あ、わかっていると思うけど、ダンジョン以外で魔法を使うのはご法度。絶対に使わないでね」
「こ、こんな状況であっても使うなとッ!?」
「当然」
僕は驚愕するアリスに対して頷き、その場で跳躍。
建物の上へと乗る。
一番大きな建物の煙突に立つ僕はゆっくりと降りてくる緑色の血を流した怪物をにらみつける。
「……なんで僕のところにッ」
目の前にいる怪物。
悪魔と言う他ない容姿をしている怪物。
紫色の肌に天を貫くように伸びる角と天空を支える異形の三対の翼を持ち、ぎょろぎょろとした六つの瞳の中にある幾つものが眼球がありとあらゆる方向を向いている。
腹が裂け、そこから幾つもの人間のものに見える腕が伸びている。
「悪魔なら人を魅了する美しい姿で来てよ。天使のように不気味な姿をしているんじゃないよ……というか、まだ英雄は来てないぞ」
すべてに対して殺意をまき散らす悪魔を前に戦わざるを得ない僕は悪態をつきながら刀を構えた。
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