第18話

 ダンジョンから帰ってきたら一週間ほどは休暇だ。

 次にダンジョンへと潜るときはガッツリ80階層にまで潜る予定だから、そのための準備期間でもある。


「……お前は教会の方にも帰れよ」

 

 休暇が始まった三日。

 ずっと僕とお姉ちゃんの家に居座っているアリスへと視線を向ける。

 そこにはまるで我が家のようにくつろぎ、昼から酒を飲んでいるダメ人間の姿がある。


「教会の方にねぇ……あそこには口うるさい神父様がいるからなぁ。あ!ちょっと行くときは一緒に来てくれない?あんたと一緒なら何とかなる気がするわ」

 

 ……確かに神父様は僕の前でアリスを本気で叱ったりはしないだろう。

 だがしかし。


「僕が一緒にいって何とかしても君の成長には繋がらない気がする」


「えー!そんなつれないこと言わないでよ!お願い、お願い!」

 

 椅子に座っていたアリスはわざわざ椅子を少し離してから子供のように床に転がって虫のように暴れて癇癪を起こす。


「あー。うるさい、うるさい」

 

 アリスの姿は前世のセミを彷彿とさせる。


「……はぁー。もー。じゃあ、良いよ。一緒に行ってあげる」

 

 止まりそうにもないアリスを前に僕はため息を吐き、彼女の言葉に了承する。

 甘やかしてはダメだと思うが……このまま癇癪をずっと起こされては敵わない。


「やったぁ!」

 

 僕の言葉を聞いたアリスはぴたりと癇癪をやめる。


「ゲぇ!?」

 

 立ち上がったアリスはカエルがつぶれたような声を上げる。


「ん?どうした?」


「い、今から出かよ!そう!今から教会に行こ!」


「え?今!?急すぎない!?」

 

 僕はアリスの言葉があまりにも突然すぎて驚愕する。


「思い立ったが吉よ!ほら、行くわよ」

 

 アリスは僕の手を掴み、早く動くように


「あぁ、うん。わかったよ」

 

 僕はアリスの言葉に頷いて、動き出し……。


「……え?玄関は?」

 

 僕の腕を掴んだまま庭の方へと向かっているアリスに困惑し、疑問の声を上げる。


「良いから!」

 

 僕はものすごくごり押ししてくるアリスに従うがままに庭の方から外へと出た。

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