第17話
「ただいまー」
僕は家の玄関の扉を開き、声を上げる。
「おかえりなさい」
ダンジョンから帰った僕をお姉ちゃんが優しく出迎えてくれる。
「お邪魔しまーす」
そして、当然のように家の中へと入りこんでくるアリス。
「はい、いらっしゃい」
「……ねぇ、当たり前のように僕の家へとやってくるの辞めない?」
僕は普通に受け入れられているアリスへとそうツッコむ。
「良いじゃない。私は君のお姉ちゃんのごはんが必要なの!アークライトは私に君のお姉ちゃんを譲って家から出て、夜の街に遊びに行ったら?楽しいよ?きっと」
「は?」
僕はライン越えのアリスの言葉に目くじらを立て、彼女をにらみつける。
「ちょ!?ご、ごめん……た、ただの冗談じゃないっすか。そんな睨まないで……?」
「はぁー」
僕に睨まれ、しどろもどろにながら冷や汗を流すアリスを見てため息を漏らす。
「もういいや、今更だしね」
「やりー!一生分のただ飯ゲット!」
僕の言葉を聞いたアリスがガッズポーズを決める。
「……いや、一生は辞めろや。というか、普通に金渡しているし、外で問題なく食べられるほどのお金あるよね?」
「ふっ。この世界、金じゃないんだよ?私は!お金に頼らずして生きていく!」
「……なんや、その意味の分からない信念は」
僕はどや顔で告げるアリスにジト目で返す。
この世の中、金と力でしょ。
「うちの中では大事な信念なのよ!……それで、今日の夕食は?」
「なんにしようかしらね。まだ作ってないわ……二人が帰ってきたことだし、ステーキでも作ろうかしら?」
……お姉ちゃん。普通に二人で認めちゃっているじゃんか。
「わーい!ステーキだ!」
テンションが上がり、玄関からキッチンの
「おい!動くなァ!その前に風呂だ!汚い体で家の中をうろつくなァ!まずは風呂だ!」
三日間もダンジョンに居て、体を洗えていなかったのだ。
普通にアリスから臭い汗の匂いがしている。そんな状態で家の中をうろついてほしくない。
「僕が先に入るから、ここで待ってて」
「え?ここで?いやよ!……二人で一緒に入れば解決ね!」
「あぁ……うん。そうだね。そうしようか。確かにここでずっと待たせているのも申し訳ない」
「えぇぇぇぇ!?」
僕の言葉を聞いたアリスが驚く。
「ん?どうした?」
「い、いや……私はここで大人しくしているわ」
「あ、そう?じゃあ、出来るだけ早く上がるね」
僕は玄関にアリスを置いてお風呂へと向かう。
それにしてもなんで驚き、断ったんだろう……やっぱり男女で同じ風呂に入るのは……でも、仲間だし良いよね?仲間なんだから。
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