第14話
『最果てのダンジョン』
最恐最悪の鬼畜エロゲーと恐れられる由縁はすべてダンジョン80階層以降のイベントでの話。
ここまでのダンジョンはただ魔物たちが人間たちでパーティーをする程度の危険度。
それも僕たちが今潜っている50階層より下の階層ともなってくると他にこの階層にやってくる冒険者パーティーは紅蓮の剣だけ。
魔物たちに捕まり、パーティーの一演目、具材、道具となっている人間たちにぶつかることはまずありえないだろう。
この世界の人間はHPが減らないように一生懸命努力し、自分の人生が一度しかないことを理解していることもあり、下の階層を目指すことはまずない。
そのため、ぶっちゃけ今僕たちが戻っている階層では鬼畜エロゲーのきの字もない。
「魔法の準備出来ました!」
「りょーかい。ぶっぱなしちゃって」
「はい!」
アイを中心に渦巻いていた魔力が指向性を持ち、僕たちの前に立ちふさがる魔物へと向かっていく。
「『
きらきらと光る氷の結晶が輝き……小さな粒の一つ一つが魔物の中へと入っていく。
「終わりだね」
僕はぽつりとつぶやき、血のついた刀を一振りして血を払う。
「ぎゃ!?」
「────ぁ」
「かぺ!?」
魔物の中へと入っていた小さな氷の結晶は魔物たちの体内で膨張し、内側から全身を貫かれ、汚い氷のオブジェへと変わる。
アイの放った高位の魔法はいともたやすく魔物たちの群れを壊滅させた。
「アイ、ナイスー」
「ダメです!?倒しきれませんでした!?」
アイの方を向き、労いの声をかける僕に向かって大きな声を上げるアイ。
「ん……?既に斬ってあるよ?」
それに対する僕の返答は非常に簡潔なものだ。
「へ?」
アイの魔法の範囲外にいたのか、汚い氷のオブジェとならずにこちらへと向かってきていた魔物たちは僕のスキル、飛翔閃によって既に体を絶たれている。
「……当たり前のように刀で大規模魔法と同じ量の魔物を倒すの辞めませんか?」
あっさりと血の海になったダンジョンを前にアイはぼそりと呟き、それに同調するように僕の頼りになるパーティーメンバーが頷いた。
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