第11話
サブリーダーとして、うちのパーティーメンバーの中で最も常識的な私、リーミャは周りを見ることが仕事と言える。
「……複雑な気分です」
ぼそりとアイが呟く。
彼女の視線の先にいるのは悲鳴を上げ、仲間を呼び続ける『アルラウネ』。
アイの半分の同種……そんな存在はいつぞやのフェアリーのような姿を私たちの前で晒していた。
「はぁー」
地獄のような空間の中で私はため息を吐く。
魔物が蹂躙され、すべてが凄惨な悲鳴と共に死に絶え、人間が立つ。
これではどちらが魔物であるかわかったものじゃない。
「私には届きませんよ?」
アークライトの言っていた雪がダンジョン内に振る。
すべてを遅らせる冷たい雪はマリアに迫りくるアルラウネたちの姿を遅らせ、彼女の投げる短剣に貫かれて絶命する。
磔にされる同胞を救えなかったことを食いながら。
「まだまだ行きますよ」
荷物持ちのスキルによって飽くなきカバンを手にしたマリアがカバンから鉱石を取り出して自分の好きな刃渡りの短剣を錬金術師のスキルを使って錬金し、投げつけていく。
数が多かったら爆弾を錬金術師のスキルでカバンの中にある素材を使って錬金し、投げつけてまとめて吹っ飛ばす。
蹂躙。
そう言わざるを得ない。
新たなパーティーメンバーであるマリアの力は圧倒的だった。
血界能力とはこれほどのものなのかと戦慄するが……よく考えてみればチート的なバフとデバフをばらまける魔物とのハーフであるアイがいる。
そして、アリスもどこかおかしく、才能に満ち溢れている。
やっぱりパーティーメンバーでまともなのは私だけなのである。
「私、サブリーダーとしてやっていける自信ないよ……」
笑顔でサブリーダーを押し付け、レベル上げ任せたとか言って、何をとち狂ったのか鍛冶屋に修行へと向かったアークライトを心の中でフルボッコのしながら弱音を漏らす。
だって……私はつい最近まで落ちこぼれだったのだ。
こんな天才たちをまとめ上げる力も人望も、私にはなかった。
だが、そんな私の不安とは裏腹にレベル上げは何の問題もなく行えていた。
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