第10話
家の中でダラダラとお喋りして30分。
「んぅ……」
僕の殺気を浴びて気絶していたマリアがうめき声をあげ、ゆっくりとその目を開く。
「あっ……ご主人様……ひぃぃ!?知らない人がいっぱいいますぅ!?」
目覚めたマリアはすぐ近くにいた僕の後ろに隠れ、顔を僕の背中にうずめてくる。
「ァ?」
「ひぃぃ」
それを見たアイから聞いたことないほど冷たい声が漏れ、マリアが悲鳴を上げる。
「あ、アイ……?」
「あ、なんでもないですよ」
僕の言葉に対してこれ以上ないほどの笑顔を浮かべたアイが何でもないと口にする。
ど、どう考えても何でもないことないと思うんだけど……。
「なんでもないものはなんでもないのですよ?それよりも必要なことを話すべきじゃないですか?私たちはこれからパーティーメンバーとして行動していくんです。情報共有は必要でしょう?」
「パーティーメンバー?」
その一単語はマリアにとって興味深いものだったのだろう。
僕の背後から顔を出し、視線をアイの方へと向ける。
「ッ!?」
無意識だろう。
マリアの視線を受けたアイは息をのみ、後ろへと一歩下がる。
彼女のことが見えなくとも……彼女の人生を知っている僕は今マリアが浮かべているであろう瞳の色を容易に想像することが出来る。
「そうだよ、パーティーメンバー。仲間だよ。マリア。僕が集めた仲間……君の隣に立つことの出来る仲間だとも」
黙り込んでしまったアイの代わりに僕がマリアへと優しく語り掛ける。
目の前にいるのは仲間であると。
かつての友達に言われた『この世界のどこかに自分を受け入れてくれる人たちが、強い仲間たちがいるはずだから』という言葉を信じて生きるマリアに最も響く言葉を投げかける。
「け、血界能力しかない身ですが、どうかよろしくお願いします」
その言葉による結果は何よりもわかりやすかった。
リーミャも、アイも、アリスも……マリアが一体何を考えているかわからず、困惑する。
人見知りを発動して僕の背後に隠れてからパーティーメンバーとして頭を下げるまでの速度が速く、追いつけていない。
そんな中で、お姉ちゃんだけは平然としていた……そう、まるで僕のように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます