第2話

「……いつになったら僕は解放されるんだろう?」

 

 何故こんなことになってしまったのか。

 紅蓮の剣の面々に絡まれた僕は昼飯を食べるだけのはずが、そのまま夜にまでもつれ込み、飲み会に付き合わされていた。


「アークライトくんはかわいいねぇ。お姉さんと楽しいことしない?」


「は?ショタコンが何言っているの?」


「ほら!もっと肉食え!肉!今のところほとんど何も食べていないぞ!酒だけだ!胃の中に入れているのは!」


「そうよ!もっと食べて肉付きをよく!ムチムチよ!ムチムチ。その方がエロくて抱き心地が良いわ!」

 

 セクハラとパワハラに頭を悩まされながらお酒をちびちび飲む。

 少し離れたところで一人、楽しそうに晩酌を楽しんでいるダグラスさんは僕のことを助けてくれても良いのではないだろうか?

 パーティーメンバーが未成年に絡んでいるという状況を座視していないでほしい。止めてほしい。切実に。


「……そんなに入らないです。僕の胃は小さいんです」

 

 既に結構食べている。

 僕のお腹は既にいっぱいである。これ以上食べることなど不可能……本当にこれ以上僕に食料を押し付けないでほしい。


「そんなこと言っているから、体が小さいんだ!男ならはちきれるまで食って体を作るんだよ!お前のパーティーは前衛お前だけなんだろ?……ん?前衛お前だけ?偏りすぎだろ!?もう一人パーティーメンバーを増やせ!奴隷でもいいから!」


「もっとムチムチ!ムチムチにならないと!」


「何言っているの!?アークライトくんはこのまま小さいままで良いの!一生手の平サイズなの!」


 ……僕は手の平サイズと言われるまで小さくはないよ?そこまで小さくはないよ?


「「というか、あんたは奴隷なんて勧めないでよ!」」


「お、おう……すまんな」

 

 ふむ……奴隷か。

 良いかもしれない。全然ありかも。


「アークライトーッ!」


「ん……?」

 

 どんちゃん騒ぎの冒険者ギルドの中、リーミャの声が聞こえてくる。


「リューズさんが帰ってこない!って心配していたわよー……冒険者ギルドにいるかな?アークライト見ていない?」


「あ、パーティーメンバーに呼ばれたのでもう自分は行きますね」

 

 救いの手を差し伸べてくれたリーミャに感謝し、僕は飲み会から逃げ出した。

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