第1話
僕の暮らす街で最強の冒険者パーティー『紅蓮の剣』。
ダンジョン到達階層67層、全員が職業レベルMax、本人のレベル100越えという圧倒的な強さを持っている人たちだ。
二番手である僕が職業レベルMaxまであと5レベルで普通のレベルが62だということを知ればその規格外さがわかるだろう。
冒険者たちにとってまさに憧れと言える雲の上の人たち
「おい!アークライト!ちゃんと飯食っているか?お姉ちゃんから聞いたぞ?普段全然食べないらしいなァ!」
そんな人達にお姉ちゃんがリーミャたちと買い物をしていないため、お昼を外で食べることを決意して冒険者ギルドでおいしくご飯を食べていた僕はダルがらみされていた。
「僕の胃はコンパクトなんです。そんなに量は要らないんですよ。ブラックホールじゃないんです。一人で当たり前のように10人前を平らげる。アンゼスさんがおかしいんですよ」
アンゼス・ディグラス。
紅蓮の剣のパーティーリーダーであり、勇者の職業を冠する人。
なんか勇者と聞くと凄そうに聞こえるが、この世界だと勇者もたかが一職業に過ぎない。
「おいおい。俺がおかしいなんてことあるわけないだろ?」
「何を言っているのかしら?あなたはもう少しその食欲を抑えなさい?食費が馬鹿にならないわ。それにこの子があなたのようにバクバクと食べているのは……良いかもしれないわね。もっと食べないかしら?というか、もう少し肉付きが良い方がエロくて良いと思うの。ムチムチこそ至高。エロスの極致。あなたもそう思わない?」
「セクハラで訴えますよ?」
自分の味方をしてくれていると思ったら急にセクハラボールを投げつけてきた女性。
紅蓮の剣に所属している賢者、オリヴィア・レイユールを僕はにらみつけ、口を開く。
「えぇ、そうよ。男の子にセクハラするなんてひどいことをするなんて信じられないわ!……大丈夫ですか?怖い思いはしていませんか?」
紅蓮の剣に所属している聖職者、ユスティヌ・クライアンレが僕に優しく微笑みかける。
「ちょっと。何あなたがショタを追いかけすぎて教会から破門されているスケベが何を語るのかしら?」
「あぁー!言ってはならぬことを口にしましたねッ!?このぉッ!!!」
「何よ!?やんのかしら!?」
オリヴィアさんとユスティヌさんが取っ組み合いの喧嘩を始める。
「……」
僕は自分の方にまで拳が飛んできそうな女の喧嘩の場から逃走を選択し、近くで一人無言で渦中の場を見ている聖騎士、ダグラス・ルマジアへのもとに向かう。
「……」
「助けて?ダグラスさん」
「……力不足だ」
僕の助けを求める言葉は短いたった一言に切り捨てられる。
「……そっかー」
なんで僕はこの人たちに目をつけられてしまったのだろうか……。
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