第33話
「……ふぇ。あ、その……」
「い、いきなりすぎないかしら!?」
「好きじゃないですよ」
そんな二人とは対照的にリーミャだけは嘆息一つ漏らしただけであっさりと答えを告げる。
「あら?そうなの?」
「えぇ。そうです……アークライトの見た目は良いけど……でも人間って外見だけじゃないですからね。別にアークライトがダメというわけではなく。私たちはそもそも知り合って日が浅いですから。もっと互いを知り合ってからじゃないとそういうのは……」
「じゃあ……みんなもそんな感じなの?」
「……ぁ、私は好きです」
小さな声で。
ぽつりとアイは呟く。
「あらあら!?」
その声に反応したリューズは一気に顔を
「その……助けてくれた恩人でもありますし、その……良い人であるのは間違いないですから。安心するんです。近くにいると」
「よくもまぁ、好きになれるな。私は恐怖の方が先に来るがな。最初出会ったときはそりゃイケメンすぎてときめきもしたが……あそこまで一切の躊躇なく人を殺す場面を見せられたらちょっとって思うわね!しかも噂に聞く紫紺ノ狂人なんでしょ?私には無理ね!顔は良いんだけど……顔は」
そんなアイの言葉に対して他人への配慮が皆無と言っても良いアリスが笑いながら口を開いて自身の考えを告げる。
「その、私は生まれが生まれですから。色々とひどいことも見てきましたので、あれくらいじゃ何とも思いませんし、そもそもあれは私のせいでもありますから」
「……ぁ。そ、その……ごめんなさい」
しかし、いくら無配慮な人間であるアリスでもアイの出自のことに関する話題の重さを考えることは出来た。
「いえいえ。気にしなくていいですよ。既に私は囚われの身から解放されましたので」
「うん。うん。その気持ち……私もわかるわよ。元々私やアークライトも元々そんなような組織で生まれた子供だから」
さらりと自身たち姉弟の境遇を告げるリューズ。
「「「……え?」」」
いきなりの……あまりも突然かつ驚愕すべき内容の言葉に三人は全員まとめて呆然と固まった。
「あら?知らなかった?私もアークライトも人間牧場に近いところ出身……昔のアークライトはもっとたくさん笑う子で……人を殺すのに躊躇いを持つ子だったのよ?」
「それはどういう……?」
「言葉通りの意味よ?アークライトは人間牧場とはちょっとだけ違う。実験施設のようなところで生まれ、多くの人を殺して育つ過程の中で笑わない殺戮マシンが出来たような感じ?……まぁ、そんなことより。アイちゃんはおっぱい大きいわね!その小さなロリバディに似合わないわ!」
リューズは自分の浸かっている浴槽に同じく浸かっているアイの方へと手を伸ばし、そのお湯に浮いているおっぱいを全力でもみほぐす。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!」
アイはあまりにも突然すぎる奇行を前に大きな悲鳴を上げた。
「……お願いね。アークライト」
アイの悲鳴が響く中、リューズはぼそりと呟いた。
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