第31話

「ふんふんふーん」

 

 僕は今、うちにいる女四人全員がお風呂に入っている中。

 今日散々酷使してしまった刀の手入れを行っていた。

 死ねば血を一滴も残すことなく消えていく魔物と違い、人間は死んでも血が残る。

 しっかりと刀を拭いて手入れをしてあげないと錆びてしまうのだ。


「よし……これでよし」

 

 僕は拭いてきれいにした刀を振り、魔力を通す。


「うん。何の問題もなし。これでおっけ」

 

 僕は刀を鞘にしまって壁へと立てかけ、ゆっくりと立ち上がる。


「……お姉ちゃんはまだご飯を作っていない。うん。僕が久しぶりに夕食でも作ろうかな」

 

 僕は冷蔵庫のような機能を持った魔道具へと手を伸ばし、そこからいくつか食材を取り出してキッチンの上に並べていく。


「ふんふんふーん」

 

 僕が気分よく料理を作っていると。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!」

 

 誰かの悲鳴が聞こえ、どたばとした音が聞こえてくる。


「変なことしていないと良いけど……」

 

 僕は変なところではっちゃけるお姉ちゃんのことを頭に思い浮かべ、ぼそりと呟いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る