第30話

「お姉ちゃーん!お風呂ーッ!」


 ゲロを吐き、色々なものを汚したアリスを含めたパーティーメンバーと共に家へと帰ってきた僕は家にいるであろう


「……何が……いえ、お風呂ね。ちょっと沸かしてくるわね」

 

 僕の言葉を聞いたお姉ちゃんがお風呂を沸かしてくれる。

 お風呂は基本的に貴族のためにあるような高級品だが……僕の強い意向の元、家を作る際にわざわざお風呂を用意したのだ。

 この町に引っ越してばかりの頃はお金に余裕もあったしね。

 

 実は魔法で浴槽パンパンのお湯を作ることは結構難しく、もし作れたとしても1分程度できえてしまうため、お風呂に使うことは難しい。

 そのため、浴槽に水をためるための結構高い魔道具を買わないといけないのだ。


「え……?ここの家、風呂あるの?」


「あるよ。とりあえず二人とも。そこの汚い子をお風呂に」


「ちょっと!美少女たる私に汚い子と……?」


「ん?僕に見た目で勝てるとでも?」


「いや……その、何でもないです……」

 

 僕の言葉にアリスは目線を逸らし、そのままフェードアウトしていく。

 このゲーム世界の人たちの見た目は当然高く、全員が芸能界入りを狙えるほどには良い。

 そんな中でも僕の見た目はずば抜けていると思う。


「え?あなたってばちゃんと自分の見た目の良さを理解していたの?」

 

 僕の言葉に対してひどく意外そうにしているリーミャの言葉に僕は若干の不満を覚えながらも口を開く。

 自分の見た目の美醜も理解できないような人間だと思われているの?僕。


「いや、そりゃうちに鏡くらいはあるよ?」


「へ、へぇー」

 

 僕の返答に対して若干頬を引きつかせるリーミャが頷く。

 ……何がそんなにおかしいのだろうか?


「とりあえずさっさとお風呂に入ってきてよ……いつまでもゲロくさいままで家にいてほしくない」


「そうね……ほら、行くわよ。どうせ、あなたはお風呂どころか公衆浴場さえ行ったことないでしょう。いちいち驚かれてもアークライトのお姉さんに迷惑でしょうし……一緒に入るわよ」


「私のお世話は任せたわよ!」


「あっ。私もご一緒していいですか?」

 

 いそいそと僕のパーティーメンバーがお風呂にお姉ちゃんと向かって行く。


「あ、お姉ちゃん。これから三人はこの家に泊まらせる予定だからそのつもりで。


「わかったわ……あのね。友達が出来て家に誰か呼べたら良いねって話をしてすぐに同棲はちょっと上がりすぎじゃないかしら?……そして案の定女の子パーティーね」


「……確かに」

 

 言われてみれば僕以外全員女の子のハーレムパーティーではないか。


「まぁ、でも良いわ……そうね。うん。私も一緒に入っちゃおうかしら」


「……え?」

 

 やけに楽しそうにしているお姉ちゃんの言葉を聞いた僕はそこはかとなく嫌な予感を覚えた。

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