第29話
「ふぅ……」
僕は深々とため息をつき、馬鹿みたいに襲い掛かってくる透明人間たちを次々と切り殺していく。
透明人間を一人殺してからと言うもの、次々と別の透明人間が現れて襲ってくるせいで僕は30分間戦い続けていた。
「マジ……多すぎッ!!!」
いい加減キレそうになるくらい来る。
既に切り殺した数は100に届きそうで、実にこの辺りが血生臭いことになっている。
「ふぅーッ。あんたが最後で良いよね?あっている……よねッ!!!」
僕は先ほどまで倒していた多くの透明人間たちよりもかなり強そうな気配をしている透明人間に対し、僕は口を開く。
「……なぜわかる?」
今までずっとだんまりだった透明人間の中でようやく会話してくれる人間が現れたことに歓喜しつつ、僕は大地を蹴る。
「勘ッ!」
非常に簡潔で分かりやすい答えを出した僕の攻撃を二本の短剣で受け止める。
透明人間。
僕の刀の振り下ろしに対してまったく同じくらいの力で押し返してくる……おそらく力のステータスは僕とそう大差ないだろう。
「紫電・解放」
僕はスキルを発動し、一気に決めにかかる。
対人戦に置いて時間をかければかけるほど面倒なことになるからな。早々に叩き潰すに限る。
「時雨」
雷を纏いし僕の斬撃は1秒の間に100を超え、いともたやすく透明人間のHPを一瞬で消し飛ばす。
あとはここから敵がどれだけ粘ってく……。
「およ?」
僕はあっさりとHPが0になるどころかそのまま死んじゃった透明人間を前に首をかしげる。
流石にこの人のステータス的にはHP貫通からの命刈り取りまではいかないと思うんだけど。
「まぁ、良いや」
僕は白目をむき、隙を晒してくれている透明人間の心臓に刀を差しこみ、その命を奪う。
「多分これで最後でしょ」
「……あの子の対人戦闘のうまさって何なの?一切の躊躇なくHPを削るスキル回しを行うとか正気じゃないわ」
……。
別にHPが残っている状態でスキルを発動しているだけ良いじゃないか。
HPがない状態でHPを削るスキルを発動したら最後、実際の体に深刻なダメージが残るのだから。
これくらいで正気を疑われるとかおかしい。
「さて、と……これ以上こんなところにいたくないし帰ろうか」
「そうね」
「ですね」
「うぇぷ……昨晩の酒とつまみ、二日酔いで全然食べられなかった分の朝ごはんが出そう……」
僕の言葉に三人が同意す……おい、待て。一人不穏な奴いたぞ?
「アリス、お願いだから吐くなよ」
「も、もち……ぉぷ……ぁ、無理そ」
次の瞬間。
アリスがマーライオンへと進化した。
「アリスぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううううう!?」
「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」」
遠慮なくゲロったアリスを前に僕たちは悲鳴を上げた。
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