第23話
「あなたに味方が出来て良かったわ……いつも独りぼっちだから友達がいないんじゃないかって心配していたのよ」
満月が輝く月夜の下、ワイングラスを傾けるお姉ちゃんが笑みを浮かべ、嬉しそうに告げる
「むむむ……僕だって友達くらい……居なかったわ」
僕はお姉ちゃんの言葉に反論しようとしたが、友達どころかまともに知り合いすらいなかったことに愕然とする。
「ほら、いないんじゃない……ふふふ。味方が出来たことであなたのぼっちライフに終焉が訪れ、多くの友達が出来ることを楽しみにしているわね」
「……お姉ちゃんに友達のことについて言われる筋合いはないと抗議したいんだけど?」
実に楽しそうに笑っているお姉ちゃんに少しだけ不満を覚え、軽く言い返す。
お姉ちゃんは昔から内向的。基本的に家にいるのだし、友達などいないであろう。
「あら?私はちゃんとご近所付き合いしているわよ?」
「……え?」
僕はお姉ちゃんの言葉を聞いて固まる。
あの……閉鎖的なお姉ちゃんがご近所付き合い、だと?……ちょっと全然信じられない。
「僕とかご近所さんと喋るどころか会ったことすらないんだけど……」
「あー、あなたはあまり会わない方が良いかもね……」
「え?なんで?」
「ふふふ……ダメだからよ」
「そのダメだからで禁止するの辞めない?僕ってば世界で一番子供らしくない自信があるよ?」
なんて言ったて精神年齢で見れば既に二十歳を超え、三十路が見えてくる。
「お姉ちゃんと違って子供の頃、おしっこ漏らしてないし、泣いてもいない……僕の方がお姉ちゃんを安心させるために色々してたよ?」
「う、うるさい!ダメったらダメなの!お姉ちゃんの言うことは聞くんだよ!」
「……まぁ、別にご近所さんに興味あるからと聞かれたら別にないし、従うけどね?」
「うん!それで良いのよ!それで!」
僕の言葉を聞いたお姉ちゃんが満足げに頷く。
「あなたは冒険者たちの友たちを増やせばいいのよ。いつかうちにアークライトが友達を呼んでパーティーをやる日楽しみにしているわよ」
「パーティーとかいいね!ダンジョン制覇したときにみんなを家に呼んでやろうかな?」
「……もっと刻まないかしら?どれだけ先なのよ。もうちょっと段階を踏むべきだとお姉ちゃんは思うわ。というか、ダンジョン制覇なんて出来るの?」
「僕だよ?やるに決まっているじゃん」
「……そうね。あなたならやりそうだわ」
僕のことを世界で一番知っているであろうお姉ちゃんは僕の言葉に深々と頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます