第19話
頭が痛い。
それ以外にどう表現すれば良いだろうか?
真の意味での人間と魔物とのハーフ……人間としての性質を色濃く持っている魔物、ということなのか?
「ステータスとか職業とかはあるの?」
「あります」
僕の言葉に少女は頷く。
「うん……じゃあ、魔物の固有能力とかって使えたりする?」
「使えます。私の親はアルラウネなんですけど……こんな風に植物の蔦を出したり、下半身を花のように変えたり出来ます」
その言葉と共に少女の姿が変わり、下半身が毒々しい色の花へと変わる。
何本もの太い蔦が彼女の周りを素早く行き交う……この蔦だけでもかなり強そうだ。
「能力は?」
「相手へのデバフと味方へのバフらしいです。詳しいことはわからないのですが、かなり強いみたいです。相手の攻撃を下げたり、味方に防御無視をつけたり」
「採用」
僕はその言葉を聞いた瞬間、反射的にそう告げてしまう。
「へ?」
「ちょ、ちょ、ちょっと!?何を言っているの!?」
「あっ、ご、ごめん……えぇっと、君については理解出来たよ。それで?なんで君は全裸で転がっていたんだい?」
「……ぜ、全裸……い、いえ!私がここにいたのは私が人間牧場から逃げ出したからです。私をどこに持っていくつもりでしたのか、何やら箱の中に入れられ、その中で揺らされていた時に隙を見て逃げ出して……そこであなたに会ったのです」
「なるほどね」
僕は彼女の言葉に頷く。
今からすべてを放り投げてしまいたくなるような面倒くさい事案確定ですね、これは。
絶対にこの子を持っていた人間牧場の運営VS僕の仁義なき戦いが始まってしまうじゃないか。
「君ってば行くあてとかってある?」
だが、既に乗りかかった船である。
ここで降りるのも寝ざめが悪いだろう。
「い、いえ……何もない状態から逃げ出してきてしまっていますので、すみません。行くあてはないです」
「よし。良かったらだけど僕たちと一緒に来ない?」
「えっ!?本気!?」
僕の言葉を聞いたリーミャは信じられないと言わんばかりの驚愕の声を上げる。
「うん。本気だとも。僕は元々パーティーメンバーを探していたしね!ちょうどいいじゃん」
この子のつけられるバフである防御無視……なんと魅力的で素晴らしい効果だろうか。
何%上げらるのか……とても期待が膨らむ。
防御無視とか1%つけてくれるだけでも圧倒的な恩恵がある。
実に素晴らしい子じゃないか。
「い、良いんですか……?」
「うん。いいとも、ぜひ僕たちのパーティーメンバーとなってよ」
「よろしくお願いします」
少女が差し出された僕の手を取った……その瞬間。
≪従約を確認……アークライトとアルラウネハーフとの従約を認めます≫
頭の中に声が響いてくる。
「ふぇ?」
「よし」
「え……?どうしたの?」
僕はしっかりとハーフである少女にも従約が発動したことを確認し、頷いた。
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