第18話

「さて、と……それで?君は誰?」


 起きた裸の少女へと僕は疑問を投げかける。


「ちょっと待ってください?それよりも先に私に服は頂けないでしょうか……?素っ裸のままは嫌なのですが……」


「そんなものはないよ。女の子用の服とか持ってきていないかな。うちに荷物持ちいないし」


「えぇ!?待ってください!服を!どうか服をよろしくお願いしますッ!!!」

 

 そんな僕の言葉に少女は驚愕し、土下座せんばかりの勢いで僕に頭を下げて懇願してくる。

 だがしかし、そんなにお願いされても服を持っていないのでどうすることも出来ない。


「よろしくとか言われてもないし……あっ。ブルーシートで姿だけでも隠しておく?」


「……はい。隠しておきます。何もないよりはマシですよね?」

 

 僕の言葉に少女は頷き、渡されたブルーシートでうまく隠す。


「ご、ごめんね……まさかこんなことになるとは私も思っていなくて……」

 

 しょんぼりとしている少女にリーミャが頭を下げ、謝罪の言葉を口にする。

 

「いえ……良いんですよ。これで……ふふふ。仕方ないですもんね」

 

 そんなリーミャの謝罪に対して少女は実に寂しそうな笑い声を漏らす。


「それで?さっきの質問に戻るけど君は誰?……なんでダンジョンで全裸になって倒れていたの?」

 

 ダンジョンに全裸の少女が倒れている。

 まず見ることのない珍事であろう。


「えっとですね……私は人間牧場の出身者なんです」


「……人間牧場?12階層になんて人間牧場はないはずだし、そもそも本当に人間牧場出身?そうとは思えないしゃべり方なんだけど」

 

 人間牧場で生まれる人間なんて魔物の餌か孕み袋か人間を生む道具になるかの三択しかない。

 彼女のように知的に会話するなんて芸当はまずできないだろう。


「私は、少しだけ特別だったんです」


「……特別?」


「はい。そうです」

 

 僕の言葉に少女が頷く。


「私が暮らしていた人間牧場では……仮面をつけた人間みたいな人たちが運営をしているところでした。私は仮面をつけた人たちから教育を受け、普通の世界でも生きていけるように育てられたんです」


「へぇー」

 

 僕は少女の話を聞き、気を引き締める。

 思ったよりも面倒な事案に首を突っ込んでしまったのかもしれない。


「なんで君は特別な子だったの?」


「ハーフなんです」


「ん?」


「私、魔物とのハーフなんです。通常、人間と魔物の子供は全員魔物となるはずらしいのですが、私だけは人間としての性質の方が強い人間と魔物のハーフと言う珍しい生物らしいんです」


「「……」」


 うん。間違いなくそれは珍しいじゃなくて君が世界初だね。

 僕はリーミャと共にゲームでも見たことがなかったような話を前に唖然とした。

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