第17話
死者の尊厳が認められず、冒涜の限りを尽くされる夜の世界……ダンジョン12階層。
そこでレジャーシートを引いた僕たちはお昼休憩をとっていた。
「それで?この全裸の痴女は誰なの?」
泣きつかれたのか、僕の服を掴んだまま眠りこけている全裸の少女をリーミャは示し、尋ねてくる。
「知らん」
その疑問に対する僕の答えは実にシンプルなものだ。
「えぇ……わかんないの?」
「わからん。わかるわけがない。僕は悲鳴が聞こえたからここに来て……で、この子を見つけてそのあとは姿が見えない何かと戦った。んで、その相手を退けてこの子の隣に戻ってきたら泣きつかれて、そこからは君の知る通り」
「……なるほど。その姿の見えない何かって強かった?」
「いや?まったく。姿が見えないのは厄介だけど、感じればいいだけだし……相手は防戦一方だったからね。実力を隠していない、あれが全力だったら普通に雑魚だよ。まぁ、多分実力を隠しているだろうけど」
あんな意味深に出てきた奴が雑魚のはずがない。
きっととんでもない実力を隠しているのだろう。戦闘力53万ある化け物のように三回くらい進化を残しているはずだ。
「……感じれば、良いだけ……?」
「うん。そうだよ。感じるだけ。空間の揺れとかで。逃げられても土ぶつければどこにいるかわかるし」
「それは多分君だけだよ……?」
「え?そんな難しいことでもなくない?僕のお姉ちゃんなんてなんとなくですべてをこなすよ?お姉ちゃんの大道芸凄いよ?」
「今、あなたのお姉ちゃんに対して猛烈に興味が沸いたわ……というか、あなたにお姉ちゃん居たのね」
「うん。いるよー。二人暮らし」
「へぇー」
裸の少女を膝に乗せた僕はリーミャと共に昼飯を食べながら雑談に勤しむ。
「んうぅ……」
「およ?」
僕の膝の上で眠り続けていた少女が小さな声を漏らし、ゆっくりと瞼を開ける。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!」
目が覚めた少女は僕と自身の姿を見比べ、悲鳴を上げる。
「あ、悪いんだけど服はないから。お前、服持っている?」
「へ、変態ぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
そして、少女は膝枕をしてあげていた僕のことを突き飛ばし、僕から全力で距離をとる。
「……助けてあげた人にその態度はひどくない?」
「デリカシーなくない?」
デリカシーと言われても、しょうがないじゃないか……服ないんだもん。
僕ってば悪くないよね?
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