第13話

「よし……これでレベルマックス」

 

 自身の職業レベルが50になったことを確認した僕は隣にいた悲鳴を上げさせるために生き長らえさせていたフェアリーを斬り落とす。


「ほら……お前ら、さっさと散りや」

 

 そして、僕はさっきから自分の周りをうろつくだけで攻撃してこないフェアリーに向かってそう告げる。

 残念なことにどうやらフェアリーには恐怖心と言うものがあるらしく、倒した数が3万を超えたあたりから攻撃されなくなっていたのだ。

 『最果てのダンジョン』では有名な無限爆速レベリングがまさかうまくいかないなんて……。

 やっぱりこの世界はどこまで行っても現実世界なんだな……ゲームとは違う。

 

「なにを!?我らフェアリーがここまでの恥辱を受け!おめおめと引き下がれるかァ!!!」


「そうだァ!そうだァ!」


「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 僕を囲うフェアリーたちは口々に勇ましいことを口にし、やる気を漲らせている。彼ら、彼女らから感じるのは不屈の精神。

 おぉー!なんと!やはり無限爆速レベリングはこの世界でも生きているのか!



「ふふっ。やるならそれはそれで良いよ……?叩き潰してあげるだけだから」

 

 

 反骨精神が溢れているフェアリーたちを前に僕は笑いを漏らして、口を開く。

 やはりフェアリーたちはレベル上げに最適な魔物たちだ。


「「「……」」」

 

 何故だろうか……僕の言葉を聞いたフェアリーたちは僕に視線を向けるだけで黙り込み、うんともすんとも言わなくなってしまう。


「きょ、今日はこの辺にしておいてやるからーッ!!!」

 

 そして、大慌てで逃げ出してしまった。

 あれ……?反骨精神はいずこへ?

 ここには既にフェアリーたちは居なく、残されたのは大量に転がっている魔晶石たち。

 今日はリュックを持ってきていないし、これらはこのままにしておくしかないだろう。


「なんで逃げちゃったんだろうか……?」

 

 ダンジョンで拾った結界魔法が込められている魔道具の力によってその身を守っていたリーミャの方へと視線を向け、そう尋ねてみる。


「いや、あんな惨状のあとに叩き潰してあげるって言われればそりゃ恐怖で固まりもするわよ」


「それもそうか」

 

 僕は彼女の言葉に頷いた。

 流石のフェアリーでも心はあるもんな。ゲームのように無限レベリングとはいかないか……反骨精神にあふれたあの言葉を聞いてワンチャンあるかな……?って期待したのに。

 まぁ、ここの他にもレベル上げ場なんていくらでもあるから良いけど。

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