第12話
私、リーミャが役立たずの烙印を押され、パーティーを追放されてから早一週間。
元々持っていた貯蓄も少なくなり、このままじゃ野垂れ死んでしまうと震えていた時に私は男たちに捕まれ、裏路地に引きずり込まれたのだ。
そんなことがあった次の日。
ただ意味もなく毎日のように来ている冒険者ギルドで口論している紫紺ノ狂人ことアークライトと再会したのは天の采配かと神に感謝した。
どうしようもなくなった自分の現状を覆してくれそうなジョーカーになりうる力を有した……私がどこかおかしいけど優しい印象を受けたアークライトを私は全力で頼ることを決意し、勇気を振り絞って声をかけた。
「……」
そのことを今、早々に後悔していた。
誰だ?
アークライトを狂人と呼んだのは……彼のどこか人だと言うのか。
悪魔か何かだろう……あれは。
「いやぁー!!!助けて!?助けて!?誰か!?誰か!?」
「ここにいるのは化け物だッ!怪物だァ!!!!!
「我らが同胞にこのような仕打ちをッ!!!決して許さぬッ!!!!!」
フェアリー。
ダンジョン8層を根城としている小さき悪魔と呼ばれる魔物たち。
一匹一匹は弱いものの、フェアリーは同族意識がとても高く、一匹が助けを呼べばたちまち何千、何万ものフェアリーが集まってきて冒険者の意識を刈り取っていく。
そして、その先にあるのはフェアリーの運営する人間牧場の種馬、孕み袋として生き続けることになる。
手足が切り落とされた状態で保管され、たただた延々と性行為を強制されている人間牧場は醜悪の一言であり、フェアリーに悪魔としてのイメージを植え付ける
「ひどい……」
そんなフェアリーに同情する機会が与えられるのは私くらいだろう。
「……数が減ってきたかな。もっと多くのフェアリーが来てほしいんだけど」
一人刀を構え、己の周りを囲うだけで攻撃してこないフェアリーを眺めながら
そんな彼の下には数えることも難しいほどの魔晶石が転がっている。
「もっと悲鳴上げて?」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
アークライトはフェアリーを自分の隣に建てられている木の杭のてっぺんにぶっ刺し、手足をもぎ、フェアリーをただただ悲鳴を上げるためだけの存在へと変えさせていた。
アークライトはフェアリーの一匹が大量のフェアリーを呼び寄せるという性質を利用し、一匹を捕まえて悲惨な姿を晒して悲鳴をあげさせることでフェアリーを集め、それらを大量に殺すことでごっそりと経験値を稼いでいるのだ。
「……」
私はアークライトの所有物らしい結界石の中でただただ目の前の惨状を眺めていた。
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