資料07
[予備知識・エンデナ大陸『レイジェ連邦』]
レザフィカで最も資本主義精神が強く、最もリベラルな国とされる(ただし、それは自然生物限定の話であって、機械生物への偏見がかなり普遍的とされているレザフィカ世界の中でも、最も魂差別がひどいとも)。また実力主義すぎる社会とも言われ、経済活動(つまり金が動く行為)であるなら、他の国では問答無用で犯罪とみなされるようなことでも、普通に許されたりする(例えば自然知的種売買など)。観光大国として名高いのだが、おそらくそれは表向きで、実際のところは、奴隷や、場合によっては結婚相手などを買いに来ている者が多いとされる。
知的種族の比率として、シアルヌス一門のシェイナザ氏族とカレドラ氏族が多いとされるが、シアルヌス語だけでなく、ウェシッド語話者も多い。他にも、レザフィカの全ての国の中でも、おそらく最も多くの言語が使われる。さらには、この国の政府において、常に大きな権力を保有してきた二大組織の片方である"連邦委員会"は主にベズク系のレミ氏族、もう片方の"連邦軍"は主にシアルヌスのラタトフ氏族が常に支配してきた。こうした複雑な種族模様は、 おそらくこの国が、最初、少数の主人と大量の奴隷たちの領域だったことが……
《レザフィカ球体旅行記》
author.クルックス・クルークス
──
[1・はじめに知っておくべきこと]
〈魔術は2種類〉
魔術には、大まかに2種あります。"自然魔術"と"機巧魔術"です。これらの違いは、自然生物を利用するかどうかです。
(機巧魔術なんてものが、そもそも存在しないと考える者も少なからずいます。この本でも扱っているいくつかの議論を知れば、そう考える者の理屈もわかるでしょうが、私は、そもそもそれを魔術として考えないことによる利点がわかりませんし、あまり興味深い話題とも思えないので、この本では特に気にせず、機巧魔術は一貫して魔術とします)
……
〈魔術は知恵の技術〉
魔術は"魔法"のような超能力ではないですが、魔法のような超能力をよく利用します。自然、機巧、いずれの魔術にしても、「術師自身の構造と合わせた一定領域の様々な要素を利用する、知恵の技術」という基本は共通です……
奇妙に思えるかもしれませんが、自然生物の術師自身を利用した魔術は、術師ごとに理解しなければならない知識(自身という自然生物の情報。元素構造情報)が異なっているため、そうした術を自在に使える魔術師は珍しいです……
機械生物を利用する機巧魔術の場合は、必要な(主に物理構造)情報のバリエーションは少ないです。その事情は、機械生物の(そのような存在の可能性を私は否定しません)魔術師が自身を利用した機巧魔術を行う場合でも変わらないでしょう……
機巧魔術のために豊富な知識を持っている魔術師なら、表面から読み取れる構造パターンだけから、対象の機械生物のことをいくらか理解できることもあります。
[3・機巧魔術]
〈機巧魔術はテクノロジーか〉
……これはようするに(機械生物含む)機械を使って何かをすることでもあります……
機巧魔術は、誰でも使えるだけでなく、ある魔術に必要な知識が誰でも共通です……
……
〈機巧魔術分類〉
……以下の分類は、バーチャル世界に起源があるとする説が有力です。
・"占星術"
星々の影響をその動作から読み取る技です。これはスフィア世界のような、ネイズグ内の小世界においては、重要度が高いと思います。これはようするに、ある系における星群の影響の計算と利用とも言えます。
・"錬金術"
これは複雑構造で、モノ元素を再現している粒子群(つまりテク元素)の系ならではの変換の術です。ようするにテク元素を操作して、より高次元の物質状態を変化させる技です。
・"錬命術"
生物構造を対象とした錬金術です。機械生物ならこれで永遠に生きることも可能なはずです。ただしこれは魂に関しては何の影響を与えるものでもないので、自然生物の寿命の調整はできないと思います。とはいえ構造の修復に使えるから、いわば医療として自然生物の物理構造に対しても使えます。
・"召喚術"
時空構造の操作により、対象物質を、障害物なども避けて移動させる技ですが、例によって、魂やエーテルに影響を与えることはできないため、自然生物にはほぼ無意味です。
・"数秘術"
数学を基盤とした様々な技ですが、ようするに典型的なテク元素系、機械生物の世界でコンピューターテクノロジーと呼ばれるものと実質同じと考えていいです。最初にバーチャル世界を造り出したのもこれだと思われるのですが、だとすると起源にかなり謎があります。その汎用性の高さは素晴らしいですが、(一部の魔術師が熱心に語るように)この機巧魔術が、自然魔術を完全に再現できる日がいつか来るかという点に関しては、私は怪しいと思います。これは、私が思うに、テク元素系そのものを直接的に操作する魔術ですが……
《魔術について》
author. アジェラン・ケルシカ
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[非国家組織]
……
〈クロバナ〉
ウィッチ(魔女)の秘密結社。謎は多いが、おそらく非国家組織の中で、最も強力な少数精鋭の軍隊を有する…… この組織を抜けた、一部のウィッチたちの証言を信用するなら、この組織に属する者たちは「ウィッチこそが最も優れた生物」だという信念を共有していて、レザフィカ世界を管理者たちから奪い、自分たちのために造り変えることを最終目的にしているらしい。
かなり危険な組織として警戒されてはいるものの単純にその戦力が強力すぎて、誰も迂闊に手が出せない……
《小世界レザフィカ》
author.アールトネ・ミグ・フォーカ
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[11・後天的な内側の呪い]
通常、呪いというのは、自然生物が有する、原型(生物一族に共有される魂の型)に普遍的な遺伝要素なのであるが、後天的にそれを与えることも可能だという。ただし厳密には、魂構造の部分としての呪いには大きく2種類ある。簡単に言えば、それが構造の内部にあるか、外部にあるかの違いであるが、(日常的にどのように使われてるかはともかくとして)専門的には外部のものは呪いとは言わない。外部にかけられた呪いは病気(ただし、構造体の狂いが原因である、より一般的な病気とややこしい。ここでは詳しく説明しないが、これには現象の連続性だけでなく、歴史的な問題も絡んでいる)といい、通常、後天的な呪いは全て病気である。
自然生物の呪いが永遠のものだと語られる時、その呪いというのは、まず間違いなく魂構造の内部の呪いであって、それは創造の魔術師が原型を製作している時に組み込むものであって、確かに、生物が生きている限り、原型からそれを消すことはできない……
ところが、驚くべきことに、これまでこの世界で何度か後天的に、魂構造内部に呪いが与えられた例が知られている(ただし、確実と言える記録はなく、普通は単なる伝説と考えられている)……
……
私自身は、アルカキサルが、そのような呪いのパターンを開発した痕跡を見いだしたことはない。ただし、これまで数多くいた、アルカキサルの自称後継者たちによると、そのような構造の最初の開発者もまた、アルカキサルの技術者か魔術師らしい……
……
1つだけ確かなことがある。私たちの、自然生物の生物学において、 後天的に呪いを刻まれた魂の生物は、もはや原型から続くある一族とは、異なる存在と考えていい……
……それでも、私はこう言いたい。たとえこの世界で……
《機械世界の自然生物(エッセイ2)》
author.ヨッド・ヘンルト・スプゲジャ
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