30:三人の関心

 



「何であんなに盛大な勘違いが出来たのかしら」

 食堂でビビアナとクラウディアと一緒に食事をしながら、ジュリアは純粋に不思議でしょうがないという顔をしていた。

 今日は麺の日で、いつもより食堂が混んでいた。


 メニューは、ミートボールスパゲティと、茸とベーコンのクリームパスタ、サッパリ柑橘系香る野菜とチキンのスパゲティの3種を頼んだ。

 勿論これだけではなく、サラダとスープとデザート付きである。

 他にもメニューはあるが、三人で好きな物を選んだ結果この3つになった。


「本当に、なぜ自分がジュリア様に好かれていると思ったのでしょうね。あの程度の容姿で」

 ビビアナがサッパリ柑橘系スパゲティを取り分ける。


「公爵家のミケーレ様や、生徒会長のノルベルト様と一緒にいる所を見ておりますのに、自分の方が格好良いとでも思ってるのでしょうか?」

 クラウディアがミートボールスパゲティを取り分ける。


「私、片手で余る程度しかお会いしてなかったのですわよ?惚れようが無いですわよね」

 ジュリアがクリームパスタを取り分けた。

 それぞれの前に3種のパスタが並ぶ。



「私の勝手な思い込みですが、ビビアナ様はもっとお肉の多いパスタを選ぶと思ってましたわ」

 ジュリアが目の前の3種のパスタを見て言う。

「実は、家の食事がお肉中心なので、外では野菜多めを選ぶ癖が付いてます」

 ビビアナが笑う。

「あら、私と逆ですのね。うちは家族がサッパリ系が好きなのです。揚げ物とかあまり食卓にのぼらなくて」

 クラウディアがウフフと笑う。


 三人の興味はもうリディオには無く、それぞれの家の食事傾向の話へと移ってしまった。

 リディオに対して、ほとんど興味が無いせいである。



 好きの反対は嫌いではなく、無関心だとよく言われるが、本当にそうなのかもしれない。

 この後、三人の話題はリディオに戻る事は無く、新しいスイーツや、隣国で流行り始めたファッションの話へとどんどん変わっていった。



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