23:誕生日 sideサンテデスキ伯爵家

 



 突然、アンドレオッティ子爵家から手紙が届いた。

 そういえば、今日はリディオの誕生日だったな。

 誕生日を祝う手紙かと思って開けると、婚約破棄の書類が入っていた。

 こちらは同意していないのに、なぜ受理されているのかと焦って内容を確認する。


「リディオの有責での、婚約破棄?」


 確かに、婚約を結ぶ際の契約書にアンドレオッティ家に相応しくないと判断したら、一方的に破棄できると記載があった。

 しかし、そんなものは普通みたいなもので、実際に行使したという話は聞いた事無い。


 しかもなぜ、今頃?

 あの、リディオが怪我をさせたとか言ってきた時とかならまだ判る。

 だがあの件なら、リディオに謝っておくように伝えたから問題無い。

 たかが痴話喧嘩で大騒ぎし過ぎなんだ。



 そういえば、今年のジュリア嬢の誕生日パーティーはいつだ?

 リディオより前のはずだ。

 今年の誕生日は特別で、成人した後継者としてかなり大規模なパーティーをすると、1年も前から計画していた。

 当然そこで、リディオが婚約者として披露されるはずだった。


 うちの業績が下がり始めたのは、いつだ?

 あの大きな取引先との更新は、そろそろだったはずなのに、そういえば連絡が来ていない。

 最近、契約の書類を書いていない。

 どこの取引先とも、契約書を交わした記憶が無い。

 何かがおかしくないか?


 ふと、婚約破棄の書類の日付が目に入った。

 3ヶ月も前の日付じゃないか!!



 正妻のバーバラとの離婚が成立した時、別居して10年以上経過している為、妻側からの申請だけで受理されてしまった。

 調査の為に申請から半年経っていたが、成立して3日後にはこちらに届いていた。


 いくら婚約が結婚よりも前の段階だからといって、3ヶ月は遅過ぎる。

 これは絶対に抗議をしなくては!


 いや、その前に、リディオに詳しく話を聞かなくては!

 学園へ速達で手紙を出した。

 明日には届くはずだ。

 本人受取指定なので、間違いなくリディオの手に渡る。



 今頃リディオは、ジュリア嬢に祝われていると思っていたのに……。



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