03:顔合わせ当日
婚約通知か届いてから半年後、婚約者が王都に来るので顔合わせをすると、両親からの連絡がリディオに届いた。
「何で俺が!俺の方が相手のタウンハウスに行くんだ!」
またしてもリディオは部屋で暴れていた。
「それは当然だと思うけど……」
同室のマルツィオは、リディオの婚約相手である子爵家の立ち位置を知っているので、思わず呟く。
マルツィオの実家のポルカーリ伯爵家は、直接アンドレオッティ子爵家との取引は無い。
それでももし婚約したら、マルツィオが挨拶に伺う立場だっただろう。
「ねぇ、一応確認するけど、婚約者の事は知ってるんだよね?」
マルツィオがリディオに質問すると、不機嫌な声が返って来た。
「あぁ!?何で格下の子爵家の令嬢の事なんて気にしなきゃいけないんだよ。どうせ伯爵家と縁続きになりたい下位貴族が、親父に頼みこんだんだろ?」
マルツィオの顔が無表情になり、リディオを見る目が冷たくなった。
「思い込みって危険だから、ちゃんとご両親に色々聞いた方が良いよ」
同室のよしみで、マルツィオは最後の忠告をした。
これから先、リディオとは距離を置いた方が良いと判断し、なるべく関わらない事を決めた。
寮監へ部屋変えの申請手続きをしようと、すぐに部屋を後にした。
部屋に空きが有ったのと、リディオが部屋で癇癪を起こしているのを周りの部屋の住人が聞いていた為、マルツィオの部屋変えはすぐに了承された。
リディオが居ない事に、ホッとしていた。
変に自尊心が高いリディオは、マルツィオが部屋を出る事を邪魔するのが予想出来たからだ。
「俺と一緒が嫌なのか」「お前が出て行ったら、俺に問題が有るみたいだろう」そう文句を言うのが簡単に想像出来た。
「何かやらかしてないかなぁ。やらかしてるだろうなぁ」
荷物を片付け終わった部屋で、マルツィオは呟く。
今後、交流する事は無いであろう元同室の知人を思い浮かべ、マルツィオは苦笑した。
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