第25話


 南さん、望月さんの二人と一緒にダンジョンに潜り、お互いの戦い方や攻撃力、動きの早さなどを確認し合い、俺はパーティ戦の効率の良さをしみじみと実感していた。


 今まではソロだったので4階層以上は厳しいなと思っていたが、望月さんのあの反則的なエアバレットのおかげで4~5体のコボルトやゴブリン相手でも一瞬で戦闘が終わってしまう。彼女の魔力は回復速度が2倍らしく、魔力量も多いため1時間で20も自然回復するらしい。エアバレットで言うと約30発分だ。魔力量が厳しくなってきたらレイピアでも戦えるとのことで、俺の銃の残弾が無くなった頃には三人でレイピアで戦っていた。



 「全員が後衛かと思えば、全員で前衛って…明日からは計画的に戦おう。」


 「だね、私も東城君も前衛後衛両方できちゃうし、さっちゃんも最近は剣の特訓してたからね。」


 「わ、私はまだまだなんだけどね…。あ、東城君のその銃便利だね!私も買おうかな…?」



 南さんの魔力は、スキルの持続時間が長いので減ることがないらしく、今日は余っている魔力をマガジンに補充してもらったりしたので、この銃の便利さを実感したらしい。



 「やっぱこれ良いよな!この銃って普通の冒険者からしたら、魔力の無駄とか言われちゃうらしいけど、俺からしたらめちゃ便利な武器なんだよな。あ、これ中古で15万ね。あと追加の予備マガジンは1個3万。」


 「えっ…今はまだ買えないや…。」


 「さっちゃん、私の貯金と合わせれば足りると思うからEランク行く前に買っておこう!余ってる魔力があるなら、使えるようにしておいた方がいいと思うし!」


 「よしっ!じゃぁ少しでもお金の足しになるように、もっと狩っていこうか!」



 その後夕方までゴブリン狩りを続けて、結構な量の魔石とアイテム薬草などを持ち帰ることができた。



 「南さんがいるだけで、こんなにも沢山のアイテムと素材が持ち帰れるのか!」


 「この魔力草も採取して帰れるのが大きいんだよね~♪」


 持ち帰って来れたのは、魔石・薬草・魔力草・ゴブリンダガーの4種類。いくら重量軽減のスキルがあるとはいえ、リュックの容量は変わらないので小さくて沢山入れられる物だけを採れただけ持ち帰ってきた。

 今までソロだと魔石しか持ち帰れなかったので、この物量にはびっくりだ。


 魔石×120  12,000円

 薬草×100   1,000円

 魔力草×150  7,500円 

 ダガー×10  1,000円


      計 21,500円 


 ギルドの手数料が取られて19,350円三人で分けると一人6,450円だ。


 (あれ?一人で潜っている時よりも収入が少ないぞ!?)


 「あははっ!東城君めっちゃ顔に出てるよ!一人での方が稼ぎが良かったとか思ってるでしょ?」


 「私たち、最初4人でパーティ組んでたけど、これでかなり困ってたんだ…。」


 二人の話を聞いていると、このFランクのダンジョンで得られる魔石や素材の単価の安さから、時間いっぱいまで頑張ったとしても、3人以上になると収入が少なく困るらしい。

 あの男子二人とパーティを別れてから、二人の収入も増えて極貧生活から脱出したということなので、「Fランクダンジョンはソロか二人を推奨!」と望月さんが言っていた。


 12月中、毎日ここで三人で潜ってしまうと資金面で厳しいので、数日に1回予定を合わせて潜ることにした。それ以外は今まで通りソロ活動だ。


 夜ご飯を三人で食べてからホテルに戻ることになったので、渡したい物があるからと二人を部屋に呼ぶことにした。



 「魔力が20まで回復してるし、40本いけるな!ちょっとポーション作るから椅子にでも座って待ってて。」



 クローゼットから買い置きしてあった空のポーション瓶を取り出し、昨日採取してあった薬草とスライムゼリー。


 レベルアップで2本同時に作ることができるのと、ボーション作成時の消費魔力が半分なので、2本ずつ20回スキルを使って40本のポーションを作り出し、30本を二人に渡した。



 「色んな種類作ったから、売れば4千円ぐらいになるかな?今日ダンジョンで魔力沢山分けて貰ったからそのお返しで。」


 「えっ!いいの!?ありがとう!てかスライムゼリーでポーションとか反則じゃん!」


 「あ、ありがとう!銃の注文して、お財布心配だったから…。」


 

 最後の南さんの言葉が切実すぎて、渡して良かったなと思った。クランハウスに移るまでの間、三人でダンジョンに潜る日はポーションを用意しておこう。

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