第23話

 10月も半ばになり、3階層のゴブリンデータもかなり揃ってきた。

 今はある程度効率よく回れるルートが2つ出来上がったので、実際に周回してみてどのぐらい討伐できるのかを検証中だ。


 ゴブリンの数はその都度変わるので、月末までに何度か検証してみて、時間あたりの討伐数の多いルートで11月にチャレンジしようと考えている。


 そして一番頭を悩ませている問題が、3体のゴブリンとの剣での戦闘だ。魔力が切れた時を考えて、剣だけで何度か戦闘しているものの、最初の1体を倒すのにかなり時間がかかってしまう。残り2体になればなんとかなるのだが、1体増えるだけでかなり厄介になっている。


 「いかに魔力を温存しながら戦うかが重要だな。いっその事、銃を使うのはは3体の時だけにしてみるか?」

 

 思いついたら検証。

 休憩を終えてから1周回ってみたが、帰ってきた時の疲労感が半端ない。

 「ハァ…ハァ…これは体力つけないと…ダメだな…。」


 ゴブリンはコボルトよりも少しだけ防御力が高いので、確実に急所を狙って攻撃を当てないと一撃では倒せない。そして、ほぼ毎回2体との剣での戦闘となると、今までのコボルトとの戦闘よりもハードになっている。


 ゴブリンの数は多いので、コボルトの時よりかは1万討伐は達成しやすいはずだが、1回の戦闘で持っていかれる体力が多いのが難点だ。


 体力の消耗と魔力の管理。両方をしっかりと考えて休憩のタイミングを計算しないといけなさそうだ。できるだけパフォーマンスを落とさないように周回する方法を試行錯誤しながら、3層でのゴブリン狩りを続けた。



☆☆☆



~その頃 side:南 沙知~


 私はコボルトキラーを取るために、4層をぐるぐると適当に走り回っている。

 親友のめぐちゃんが私の前を走っていて、その左手の指先にはエアバレットの弾が2つふわふわと浮いている。そしてコボルトを見つけ次第その弾をコボルトの足に向けて撃ち込んでいた。


 「おっ!さっちゃん準備して、次3体だよ!エアバレット!」


 ーーシュン、シュン…シュンーー 


 「グァー!」「グルルゥ…」「ギャッ!」


 放たれた3発のエアバレットがコボルトの足に命中すると、3体とも体制を崩して倒れ、そこへ私は飛び込んで短剣でとどめを刺していく。


 ーグサッ、グサッ、グサッー


 3体のコボルトを倒した後、めぐちゃんの方を見てみると、指先には4発のエアバレットがふわふわと浮いている。前回の戦闘での余りの2発を放ってから、エアバレット唱えてをリロードし1発放つという、かなり器用なことをやっていた。


 (めぐちゃんは、あんな便利な魔法が使えていいなぁ。)


 「あっ!魔石落ちてるっ!今日は調子がいいねぇ♪」


 「めぐちゃん、なんか私ズルをしてる感覚になるんだけど…。」


 「気にしない気にしない!さっちゃんは戦闘が苦手だから、まずはキラーを取ることに集中!来月私が取ればノルマクリアだし、12月はしっかり戦う練習しよっ!」


 めぐちゃんはこう言ってくれるけど、なんだか複雑な気持ちになる。

 本来なら、頑張って魔物を倒し続けて取ることができるキラーの称号。だけど、私は弱った魔物にとどめをさすだけの作業。これなら、確実に今月中にコボルトキラーは取れるだろうし、先月もこうしてゴブリンキラーを取ることができた。なんだか、すごくズルをしている気分になってしまう。


 それにステータスは上がるけど、私は弱いまま。剣での戦闘はなかなか上手くならないし、魔法も使えない。逃げ足だけは早いけど、それじゃ魔物は倒せない。


 (めぐちゃんの足を引っ張らないように、なんとかしないと…。)


 強くなるためにも早くコボルトキラーを取って、めぐちゃんに特訓を手伝ってもらおう。ただ、めぐちゃんは感覚派だからアドバイスを貰ってもよく分からない。クランに入ったら色々教えてもらえたりするといいなぁ。


 


~南 沙知~

レベル:10

スキル:運搬 Lv.3(荷物を3つまで重量軽減できる。消費1×3/1時間)


生命力:37(3)

魔 力:82(8)

攻撃力:21+5(2)

防御力:32+5(3)

敏 捷:100(10)

器 用:55(5)

幸 運:32(3)


魔 法:なし

称 号:Fランク冒険者・スライムキラー(防+5)・ゴブリンキラー(攻+5)


~装備~

武器:短剣

   レイピア※

防具:戦闘服

   リュックサック(大)※

   ポーションポーチ※


()上昇値 ※重量軽減中

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