第19話 side:望月めぐみ


 6月に組んでいたパーティーを抜ける事が出来たので、今は沙知と二人で冒険者として活動している。組んでいた男二人は、7月半ば頃に二人だけでボスのホブゴブリンを倒せたからと隣町のEランクダンジョンへと旅立っていった。


 すぐに東城君へ声を掛けようと沙知と話をしていたところへ、仁というマッチョなおじさんが勧誘で声を掛けてきた。パーティーを抜ける前に移籍先をギルド経由で探してたので、それを知って来てくれたらしい。

 

 なんでも、クランを立ち上げようと思い立ったらしく、サポートメンバーとして沙知が欲しかったんだとか。私はダメか…と思ったけど、沙知の守りも必要だから二人セットでの勧誘だと言ってくれた。


 私たちは少し迷ったけど、ギルド経由だから怪しい人ではないみたいだし、Bランクのベテラン冒険者ということなので、この勧誘の話に乗ることにした。沙知の恋の応援もしたいけど、まずは生活基盤を何とかしないとね。


 「ステータスはギルドから簡単に聞いてるが、最新のを見せてもらおうか。クランで活動するのに足りなさそうな所は立ち上げまでにできるだけ補っておきたいからな。」


 そう言われたので、私たちは今のステータスをおじさんに教えた。


~南 沙知~

レベル:10

スキル:運搬 Lv.3(荷物を3つまで重量軽減できる。消費3×3/1時間)


生命力:37

魔 力:82

攻撃力:21

防御力:32

敏 捷:100

器 用:55

幸 運:32


魔 法:なし

称 号:Fランク冒険者



~望月めぐみ~

レベル:10

スキル:風魔法 Lv.4(魔力自然回復量2倍)


生命力:55

魔 力:100

攻撃力:23+5

防御力:28

敏 捷:32

器 用:55

幸 運:32


魔 法:エアカッター(消費1)

    5連エアバレット(消費3)

    エンチャント(消費5)

称 号:Fランク冒険者・ゴブリンキラー(攻+5)



 おじさんは最初に沙知のステータスを見て、運搬レベル3で荷物を3つまで持てることを知り驚いていた。


 「南ちゃん…いったいどれだけ荷物持たされてたんだ?これは上がるスピード早すぎるだろう。」


 「えと、スキルを育てるのに、寝るとき以外は常にスキル発動させてました。戦闘は主にめぐちゃんがやってくれるので、たくさん荷物を持てるようにって思って。」


 「それでか…1回の発動時間も長いし、こりゃすごいな。連続使用しても自然回復で魔力減らないじゃないか。」


 おじさんが沙知をすごく褒めてくれて、たくさん荷物を持てるようにって頑張った甲斐があったみたいだね。


 そして、続けて私のステータスを見た時に、おじさんが固まってしまった。


 「おじさん?…このステータスじゃやっぱり私厳しいかな…?」


 サポートではなく、戦闘系のスキルなので、やっぱりステータスが足りないかと心配になってしまった。


 「…ちょっといいか?いくつか聞きたいことがあるんだが?」

 

 「う、うん。」


 「この5連エアバレットって何だ?」


 「指先に5発の空気の弾を生み出して撃ち出す魔法かな。たくさんゴブリンを狩るのにもっとたくさん撃てたらいいのに!ってウインドカッターを使ってたら、レベルアップで覚えたよ!」


 「じゃぁ、このエンチャントっていうのは?」


 「体とかレイピアに風魔法を纏わせる事ができるよ!移動スピードが上がるから、敏捷値の高いさっちゃんにある程度ついていけるようになるし、レイピアの威力が上がったり、レイピアからエアカッターを撃てたりするよ。」


 「いや、おかしいだろう。なんだよ5連って普通は単発だ!てか魔法使いなのにゴリゴリの近接戦ができる魔法ゲットしてるじゃねえか!」


 なんだか私のスキルで覚えた魔法も凄い物みたい。

 確かに5連エアバレットってたくさん撃てて便利なんだけど、多分1発の威力って普通のエアバレットの5分の1の威力なんだよね。エアカッターより威力が小さいような気がするから。


 ちなみに、両手を使えば10連エアバレットを撃つ事が出来る。ただ、右手にはレイピアがあるから普段はしないけど、実験したらできちゃったんだよね。

 

 こんな感じでおじさんに説明したら、「これで攻防の数値が高かったらいずれ敵無しだったかもな…」なんてぼやいてた。その上昇値が高かったら今頃隣町に行ってるよ。


 「二人とも俺が想像してたよりも上をいってたから、Eランクダンジョンに行っても問題ないと思うんだが、まずはここで二人ともキラーを取っておけ。望月ちゃんはスライムとコボルト。南ちゃんはそれにゴブリンも。年内に取れるところまで取って欲しい。来年クランを立ち上げたらEランクにチャレンジしてもらおう。」


 そう言われたので、スライムから周り、ゴブリン、コボルトの順でキラー獲得を目指すことにした。


 「そうそう、スライムゼリーは俺が少し高く買い取ってやるから、夜この番号の部屋に持ってこい。もし俺が居なくても嫁さんがいると思うから渡してくれ。」


 このおじさんはゼリー屋さんでもやってるのかな?冒険者だから、奥さんがゼリー屋さん?まぁ高く買い取ってくれるならいっか!と沙知と話しながら、翌月からスライム狩りが始まった。

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