第17話

 ~9月10日~


 今月こそはコボルトキラーを!と気合を入れてスタートしたが、9日間で納品した魔石の数は660個だった。日あたりで計算した目標値には約20個程ほどのマイナスとなっている。

 

 後半は1日で80個の魔石を納品できた日もあり、この調子でいけばクリアできるとかなり好感触であった。


 「坊主、ニッコニコじゃないか…なんか気持ち悪いな。」


 「仁さん、それ酷くないですかっ!?」


 「いや、先月とか落ち込んでる姿しか見てなかったからな!」


 仁さんは「いつもとのギャップがな」と言いながら笑いまくっている。


 その後一緒に晩ご飯を食べ、今の進捗について話していると、仁さんも「そうかそうか!こりゃ俺の読みが外れるかもな!」と嬉しそうに聞いてくれている。

 面倒見のいい仁さんのことなので、気にかけている俺がいい感じに進めていることが嬉しいのかもしれない。それからは、仁さんが面倒を見始めた他の冒険者に関しても進捗を話してくれた。


 「前に伝えた、面倒見始めた冒険者達だけどな、無事に先月スライムキラーを取れたらしいんだ。んで、今は坊主の潜ってるダンジョンの5階層で資金調達をしてるらしい。」


 「5階層にいるって事は、今はゴブリンキラーの準備も兼ねてですか?」


 「いや、それが、ゴブリンキラーは既に一人が持ってるみたいでな。もう一人の方に取らせるためと、資金調達を同時にやってしまおうって事らしい。」


 「…んっ?それって、俺の今のペースだと確実に置いて行かれるんじゃ…!?」


 「うーん…かもしれんな。あっちにも焦らずに年内で目指せばいいって言ってあるんだが…ご褒美をちらつかせたら、やる気が凄くてなぁ。」


 「はははっ」とちょっと困った感じに笑いながらも、面倒を見ている冒険者が成長しているのは嬉しいようだ。でも一つ気になることがある。


 「俺、仁さんにご褒美あるなんて言われてませんよっ!?」


 「おっ?坊主もご褒美欲しいのか?」


 「うっ…。あっ、そういえば、パーティ相手を紹介してくれる事がご褒美みたいなもんですね。」



 仁さんには流れで面倒を見てもらっているようなところがあるが、俺からしたら冒険者の先生みたいな感じだ。それが後から来た生徒の方が待遇良く面倒を見てもらっているように感じてしまい、ちょっと嫉妬してしまった。


 向こうの冒険者と仁さんの関係性も知らないし、仁さんにとっては俺の面倒を見てもメリットは無いわけだから、わがままを言っちゃダメだなと思い、「相手の冒険者を紹介してくれるのがご褒美ですね」とご褒美は別でいりませんと遠回しに伝えた。


 ただ、仁さんの事だから何かご褒美用意してきそうなんだよなぁ…。余計な事言っちゃったなぁと少し後悔しながら部屋に戻り、明日からの準備に取り掛かる。


 朝からメンテナンスに出してあった武器を自分でも一通りチェックして、全てのマガジンに魔力を込める。


 「これで良し!っと。出だしがちょっと少なかったから、明日からの9日間で魔石700個は取っておきたいな。頑張らないと!」


 中盤で討伐数が減少しては困るので、気合を入れなおし早めに布団に入った。 

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