第15話

8月半ば、コボルトキラーを目指して毎日コボルトを倒しに行っているが、なかなかに厳しい状況で、今はホテルの食堂でテーブルに顔を突っ伏している。


「はぁ~~っ…今月はもう無理だよなぁ…。」


「おいおい、坊主!今日も元気ねぇなぁ。結果はどうだったよ?」


「仁さんは今日も元気ですね、探索帰りなのに。魔石のドロップ数は62個だったんで、ドロップ率で計算すると310体ですね。今月はもう無理だから、狙うのは来月かなぁ。」


「ほぉ、1日で300体超えたか!さすが毎日同じ魔物だけを相手してるだけあるな。大分相手の動きにも慣れてきただろ?…」



仁さんもこのホテルに泊っているため、たまにこうして会うと色々と励ましてくれたりアドバイスをくれたりする。まぁ同じホテルとは言っても、Bランク冒険者で若い頃はかなり稼いでいて、今もそれなりに稼いでいるらしい仁さんは、泊っている部屋は俺と違ってランクの高い部屋なんだが。


今日はアドバイスとかではなく、ただ雑談という感じだった。食事が終わり、そろそろ雑談も終わりかな?と思っていたところで、仁さんがちょっとまじめな顔で尋ねてきた。


「坊主はコボルトとゴブリンのキラーを取ったら、次はEランクのダンジョンに行くつもりなのか?」


「レベルを上げるためにも行きたいところなんですけど、誰かとパーティを組めたらと思ってます。」


Fランクダンジョンで上がるレベルの上限は10だ。それ以上にしたければEランクダンジョンに行くしかない。魔石の買取価格も上がるし、レベルも上げられる。行った方がいいのだが、俺一人では正直危険だ。


「そうか…。これから面倒を見てやろうかと思ってる奴らがいてな、来年あたりでタイミングが合えば紹介してやろう。」


「えっ!いいんですか!?でも、その人達のが早くEランクダンジョン行けるようになるんじゃないですか?」


「いや、今頃スライム相手に奮闘してるだろうから、きっと坊主と同じぐらいになるだろう。」


ん?スライムダンジョンで奮闘中?と思ったが、俺自身も先月まではスライムダンジョンに入っていたので、人の事は言えないなと気にしないことにした。でも他に入り浸ってた冒険者なんていたかなぁ?と疑問に思いつつ、質問してみる。


「その冒険者ってもしかしてスライムキラーを取りに行っているんですか?」


「あぁ、俺の提案でな。そいつらもステータスの伸びが小さいから、とりあえずEランクに行く前に上げれるもんは上げとけってことだ。命大事に!だな。」


それから少ししてから「いい時間だし、部屋に帰るわ」と仁さんが帰って行ったので俺も部屋に戻り休む事にした。


それにしても仁さんは面倒見がいいなぁ。この前までは俺の特訓にも付き合ってくれてたし、次は別の冒険者の面倒を見るだなんて。


来年、その冒険者の人達と一緒にEランクダンジョンへ行けるように、今年中にキラー取れるように頑張らないとな!

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