第10話「銃と魔力とエーテル」

銃を手に入れてから数日。俺はその威力に驚いていた。


ーーピュン!ーー


「ギャッ!」



ーーピュン!ーー


「ギィ!」



引き金を引くたびに赤く短いビームのような魔弾が発射され、ゴブリンの眉間に当たると倒れて動かなくなる。


威力は低いと言われていたので色々試していたのだが、ゴブリンやコボルトであればヘッドショットで一撃。胴体であれば当たり所によるが2、3発で倒せることが分かった。

ゴブリンは比較的当てやすいが、コボルトはすばしっこいので当てにくい。コボルトにもしっかりと当てられるようにするのが今の課題だ。



「ゴブリンであれば頭に当たるんだよなぁ。器用が上がれば命中率も上がるみたいだし、レベル上がらないかなぁ。」


そんな事をぼやきながら2階層へ進み、コボルトを相手に射撃の練習を始める。



ーーピュン!ーー


ーーピュン!ーー


ーーピュン!ーー



「グルルッ!」


「1発だけかよっ!…せいっ!」


ーーザンッ!ーー


3発撃ったが当たったのは骨盤辺りに1発だけだった。動きが著しく悪くなったコボルトに接近して剣で首を跳ね飛ばし戦闘を終わらせる。


コボルトのステータス平均値はこの通り。


生命力:10

魔 力:1

攻撃力:5

防御力:5

敏 捷:10


敏捷が10とゴブリンの2倍の数値になっているが、攻撃と防御はかなり低い。五十嵐さんがゴブリンよりも先にコボルトを勧めてきた理由の一つは防御力の低さだ。今の俺でも、コボルトの足さえ止めれば今のように1撃で仕留められる。



「夜のポーション納品用に魔力30だけ残しておかないとだから、リロード出来るのはあと15発か…。」



その後、撃てる分は全てコボルトへの射撃特訓に使い、撃ち終わると剣を使いコボルトと戦い魔石を持ってホテルへと帰る。


1日で倒せる量は約50〜60体ほどで、正直なところ、魔力量を増やして銃を使いこなせるまでコボルトキラーは無理なんじゃないかと感じている。


逆に、魔力量とヘッドショットの技量さえあれば狙えるわけだ。1週間に1日休みを入れるとして、日当たり380体を狩ればいい。1日に10時間潜るなら、1時間に38体狩ることが出来ればクリアできる。



「1日に魔力380って無理だろ。レベルいくつまで上げる必要があるんだ…。


 いや…。待てよ!俺エーテルが作れるじゃんっ!!」



エーテルは下級で20、中級で60、上級で100の魔力を回復できる。魔力を使い切っても今のレベルなら中級で魔力は満タンにできるし、製作コストはスライムゼリー赤に薬草に魔力1だ。



「あれ…?これ無限にポーション作れたんじゃね?めちゃ時間をフル活用してポーション作ってたのに、あの苦労はなんだったんだよ…。」



完璧なコボルトキラーの攻略法を発見したことで、徹夜で攻略スケジュールを組む事にした。射撃の練習時間を決め、必要なエーテルの量、2階層のコボルト狩りルートの作成などをノートにまとめ、翌日に五十嵐さんの出勤時間に合わせてギルドへ向かった。






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