第9話「同級生たち」
Fランクダンジョンに入り始めてから2週間と少しが過ぎた。
少しづつ戦闘にも慣れてきて、ゴブリンやコボルトとも1対1であれば問題なく戦えるようになってきている。
五十嵐さんの新たな助言から、今はレベル上げとお金稼ぎを同時進行している。
午前中にスライムダンジョンでビックスライムとキングスライムを狩り、薬草集めをする。お昼に一度帰宅しポーション作り。午後はFランクダンジョンでゴブリンやコボルトと戦闘。
魔力は1時間で1割回復するので、今までは1日数時間分のロスが出ていたのが、今はロス無しの魔力100%運用中だ。
納品するポーションも中級上級の物が混じるようになり、1日当たりの収入はポーションだけで約1万5千円。それにドロップした魔石で数百円〜千数百円。
この約2週間で貯金は15万円程になり、次の新しい武器購入の目標額になった。
そして昨日レベルも6へ上がり、ステータスが少し伸びた。
レベル:6
生命力:30(5)
魔 力:0/60(10)
攻撃力:10(1)
防御力:10+5(1)
敏 捷:9(1)
器 用:30(5)
幸 運:30(5)
「五十嵐さん!注文してあった武器のお金が準備できましたっ!」
「はいはい、ちゃんと用意してあるわよ。」
今まで貯めた15万と引き換えに五十嵐さんが出してくれたのはアタッシュケース。
それを開けると1丁の銃と予備マガジンが1つ入っていた。
これは普通の銃とは違い、魔力を使い魔弾を撃つ銃だ。発売当初はめちゃくちゃ売れたらしいが、魔力を使う割に威力が出ないことから、それならスキルや魔法を使った方がいいと人気が無くなっていった武器である。
「中古で一番安いやつだけど、メンテナンスと動作確認はギルドが行ってるから安心して。」
「ありがとうございます!」
「前も言ったけど、1発に使われる魔力は1で威力も魔法に比べると小さいからね。ゴブリンやコボルトにはいいダメージになると思うけど運用には注意するのよ?」
「はい、元々牽制が出来ればよかったので、そこまで頻繁には使わないとおもいます。使いすぎるとポーションの数にも影響しちゃいますから…。」
「ふふっ、そうね。今は魔力使い切ってるでしょ?今セットされているマガジンには私が充填しておいてあげたわ。私の攻撃力は7だから、今の東城君が充填するよりも威力は小さいからね。」
「何から何までありがとうございます!試し打ちしにダンジョンに行ってきます!」
「いってらっしゃい。気を付けてね。」
そんなこんなで新しい武器を手に入れた俺は、Fランクダンジョンへ向かいゴブリンと戦うことにした。
「やっぱり1階にはゴブリン少ないなぁ…。」
そう呟き歩き回ること数分…
「ギャギャ!」
洞窟の角を曲がった途端、居合わせたゴブリンと目が合ってしまった。
「マジかっ!」
ーーブンッ!ーー
咄嗟に剣を振り、ゴブリンとの距離を取る。出来れば銃を使ってみたかったが、距離が近いためこのまま剣で相手をすることにした。
しっかりと剣を構え、ゴブリンに向かって斬りかかる。
ーーキンッ!キンッ!ーー
「ギャギャッ!ギャギャッ!」
俺の剣のスピードが遅いのか、どこに振るかバレバレなのか、短剣でガードされてしまった。
「くそっ!この個体ちょっと強い奴か!」
その後、数分間ゴブリンと剣を打ち合い、ゴブリンが短剣を取りこぼした隙をついて俺が勝利した。
「はぁ、はぁ、やっと倒せた〜。魔石は無しか…強かったのに…。」
魔石が無かったことにガックリしていると、奥から笑い声が聞こえてきた。
「あっはっは!おいおい、ゴブリンが強いって相変わらずだなぁ東城!」
そう言いながら近づいてきたのは、学校で何度かパーティーを組んだことのある葛木だった。
「ほんと、東城だ。まだ冒険者やってたんだ?」
「東城君久しぶりっ!元気だった?」
「こ、こんにちは。お久しぶりです。」
それに続いて葛木の相棒の石田に、元気いっぱい陽キャの望月さん、おとなしい感じの南さん。
「ちっ、葛木に石田かよ…。望月さん、南さん久しぶり!元気にやってるよ。」
女子二人はパーティに誘ってくれたんだけど、男子二人との相性が悪すぎて組めなかったため、個人的にこの男子二人の事は嫌っている。
「俺たち、今は4層を攻略してる途中なんだわ。来月には5層のボスを倒しに行く予定だから、もし俺らに追いついて来られたら、またパーティ組んでやってもいいぞ~。」
「まっ、こんなところでもたついてるようじゃ無理だろうけどなぁ。」
「「あはははっ!」」
こんな感じに俺をバカにしてくる二人に「ちょっとそんな言い方やめなよ!」と注意している望月さん。
女子二人はなんでこんな奴らと組んでいるんだろう?と疑問に思う。
「俺は俺のペースで行くからいいよ。現状で生活は出来てるから問題ないしな。」
そう言い残し、一緒にいるとまたバカにされるだけなのですぐに場所を離れ、ゴブリン探しを再開した。
「はぁ…。卒業の時に誰とも組めなかったから、学校から離れてるここを拠点にしたのにあいつらがいるとはな…。ついてない…。」
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