第8話「ゴブリンとの戦闘」

ダンジョンへ入って少し進んでいくと、セーフティエリアになっている広場に着いた。

ここでは何件かの屋台が並んでいて、お弁当を売っていたり、ポーションやアイテムなどを売っていたりしている。

軽く見渡してみると、冒険者のグループ数人が昼休憩で休んでいるようだった。



(朝から潜っている冒険者はちょうど昼休憩かな?)



そんなことを考えながら、人が少ないうちにゴブリンとの戦闘を経験しておくことにした。他の冒険者が動き出すと、数の少ない1階層のゴブリンがいなくなってしまうかもしれない。


セーフティエリアを出て、スマホにダウンロードしたマップを頼りに2階層へ続く階段のある方向へ洞窟を進んでいく。


洞窟の幅は広く、見通しも良いためゴブリンがいればすぐに見つかるはずなのだが、どれだけ歩いてもゴブリンがいない。


もうそろそろ階段についてしまうなと思っていた矢先、「ギャギャッ!」と鳴く声が聞こえてきた。



「向こうにいるな!階段への道から外れるけど、戦うために行ってみるか。」



急ぎ足で鳴き声のした方向へ向かうと、1匹のゴブリンが薬草やキノコを毟って食べている。


(あのキノコって食べられるのか!?明らかにヤバそうな色してるぞ!?)


どうでもいいことに意識が行ってしまったが、まずはあいつを倒さないと始まらない。静かに剣を抜くと、しっかりと構え食事中のゴブリンに斬りかかった。



「せいっ!」

ーーブンッ!ーー


「ギギッ!」


斬りかかる直前で気づかれてしまい、直撃はできなかったが、剣を振り抜くと同時にゴブリンの右手が宙を舞った。


ゴブリンは近くに置いてあったナイフを手に取ると、こちらに斬りかかってくるが、片手を切り落とされたことで焦っているのか、めちゃくちゃに振り回している。



「ギャッ!ギャッ!」

ーーブンブンッ!ブンブンッ!ーー


「くそっ!めちゃくちゃ過ぎて逆に近づけないっ!」



ゴブリンと少し距離を保ち、振り回す剣を躱しながら攻撃のタイミングを伺っていると、だんだんとゴブリンの息が荒くなってきた。



「今だっ!」

ーーザンッ!ーー


「ギィーーッ!」



ゴブリンが少し体勢を崩したタイミングで思い切り斬りかかると、ゴブリンは悲鳴をあげ倒れた。

少しすると息絶えたようで、「ボフンッ」と魔石と石ころを残してダンジョンに吸収されていく。



食事中の不意打ちに、手を切り落とされ血を流している状態での持久戦。

なんとも実力で勝ったとは全く思えない戦いだった。



「あの状況で弱るまで待つとか、自分の事ながら卑怯な戦い方だなぁ…。」



初日とはいえ、1体倒すのにこのペースでは1ヶ月で1万匹討伐なんて夢のまた夢。

ステータスも上げなければいけないが、戦闘技術もなんとかしないといけない。

そもそも、戦闘技術があればGランクなんかにならなかったわけだが、とりあえず実践を踏んで磨いていくしかなさそうだ。



ちなみにゴブリンの平均的なステータスは


生命力:10

魔 力:10

攻撃力:10

防御力:8

敏 捷:5



そして今の俺のステータスは


レベル:5

生命力:30

魔 力:50/50

攻撃力:9

防御力:9+5

敏 捷:9

器 用:30

幸 運:30



防御と敏捷に関しては勝っているはずだ。個体差があるから絶対ではないが、1体相手ならなんとか対処出来るはずのステータスではある。



「はぁ…。とりあえず、今日1日で10匹倒すのを目標にしよう。


 スライムだって最初は核に攻撃が当たらなかったんだし、ゴブリンも慣れてくればちゃんと戦えるようになっていくよな?


 ステータス的にはゴブリンとそんなに変わらないはずなんだし。タイマンならなんとかなる。特訓あるのみだな。」



そう自分に言い聞かせて、今日はコボルトは諦めゴブリンだけに予定を変更する。まずは敏捷の低いゴブリンと普通に戦闘出来るようにならなければ、コボルトは無理だろう。


コボルトキラーの取得はいつになるだろうか。そんな事を思いながらゴブリンと戦うべくダンジョンの中を彷徨うのだった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る