第7話「冒険の準備」

5月に入り本格的にFランクダンジョンへ向かう準備を始めた。

現在のポーション収入は、日当たり約11,000円になっている。

レベルが上がり魔力が50になったことで、朝晩で100本納品出来ているのが大きい。

ホテル代が今の部屋は1日5,000円なので、しっかりご飯を食べても問題ない稼ぎになっている。


スライムゼリーは大量にストックがあるので、2か月ぐらいはスライムを狩らなくても問題なさそうな感じだが、別の問題があったりするので五十嵐さんに相談に来ている。



「問題は長期間ストックしておけない薬草なんです。」


「自分で100本もの薬草を採取すると、コボルトと闘う時間が減ってしまうものね。


 ある程度は自分で採取しつつ、足りない分はギルドから買うって手もあるわよ?


 基本は翌日にポーション協会に売られるんだけど、必要であれば買うこともできるわ。量に関しては、その日次第だから確約はできないけどね。」



薬草に関しては上の売店にも無かったし諦めていたが、まさかの窓口で納品された薬草を買うことができるそうだ。


その後、五十嵐さんから注意した方がいい場所(行き止まりなど)の確認をしたり、装備の追加購入をしたりして準備を整えた。


新しく購入したのはサブ武器として鉄の短剣30,000円、ポーションポーチ(3個入り)3,000円×2個



「装備代って高いですよね…ポーションで稼いでたのにもうお金無いです…。」


「でも、東城くんはソロだから必要以上に準備はしておかないとね。何かの拍子に剣が手から離れるかもしれないし、ポーションもどちらの手でもすぐに取れるようにしておいた方がいいわ。」



そういう五十嵐さんのアドバイスに従い、手持ちのお金ほぼ全額を使い切ってしまったが、駆け出し冒険者の装備としては完璧だと思う。


冒険者用の戦闘服に革鎧、関節を守るプロテクター。

左腰には鉄の剣があり、右大腿には予備の短剣。

ポーションポーチは左右の後ろ腰に付けてある。

最後に魔石など回収品を入れるリュックを背負えば準備完了だ。


正直なところ、かなりの重量がある。ステータスが低いからそう感じるのかも知れないが…そもそも、鉄の剣が結構な重さなんだ。

追加で準備したのは短剣とポーションポーチだが、小さくても短剣も鉄製だし、ポーションは小さいが瓶で6本持つことになる。


Fランクダンジョンで大けがしたり、死んだりは嫌なのでしっかりと準備をしたが、剣に関しては細剣にしておけばよかったかな?と後悔している。



「しっかりと準備をしているとはいえ、無理はしちゃいけないわよ。」


「はい。とりあえず、今日はゴブリンと戦ってみて、いけそうならコボルトとも戦ってみる予定です。


 コボルトキラーを狙っていくのは来月以降ですね。まずは学生の時に授業で戦ったゴブリンたちとソロで戦えるようにならないとなので…。」



「うんうん、慎重に進めていくなら大丈夫そうね。地道に頑張ってればいい仲間との出会いもあるかもしれないし、頑張って!」


「はい!まずは仲間が見つかるように実力を付けないとですね!」



五十嵐さんとのお喋りを終えると、ギルドから30分ほどの所にあるFランクダンジョンに向かった。


ポーションのおかげで、思っていたよりもかなり早くFランクダンジョンに来れた。


冒険者をするためにポーションで金策をするという、逆転現象が起きていたがそれも強くなるまでの間だけだ。このスキルで活躍する冒険者に憧れて目指した職業。とりあえず、出来るところまでやってやるぞ!と気合を入れてダンジョンへ入っていく。





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