第5話「スライムキラー」


4月末、俺はまだスライム狩りに勤しんでいた。

既に武器は揃っている為、Fランクダンジョンに進んでもいいのだが、ここまで来たら「スライムキラー」の称号を狙わない?と五十嵐さんに言われたのだ。

なんでも1ヵ月間に1万匹の同種モンスターを屠るとキラーの称号が貰えるらしい。


キラーの称号は、持っていると何かしらの恩恵があるらしいので、ずっとスライムだけ狩っている俺はチャンスがあるかもしれないそうだ。


「確かに最初は300匹を目標にしてたから、1万匹に行きそうなペースなんだよな。」


ちなみに恩恵に関しては、スライムは分からないそうだ。スライムを1万匹も狩り続けるような人はいなかったらしい。

ゴブリンは攻撃力アップ。コボルトは敏捷アップらしいので、レベルアップの恩恵が小さい俺は称号を集めてステータス強化していくのもいいかもしれない。



ーーザンッ‼ ザンッ‼ ザンッ‼――



最近では、本当にひたすらスライムを狩るだけの作業になってきた。


最初の頃に比べると剣の振り方が上手くなってきたのか、核を一発で捉えられるようになっているし、1ヵ月間ここでスライム狩りをしていたのは無駄ではなかったのかもしれない。


むしろ、ステータスに数値として反映されない武器の扱いや、体の使い方なんかはここで反復練習するのがいいかもしれない。俺みたいに底辺の人間は特に。


そんなことを考えていると「ピコン!」とレベルアップの通知音が聞こえた。


「おぉ、スライムだけでも5レべまで上がったよ。1ヵ月かかったけど。ステータス!」



名 前:東城 幸(とうじょう こう)

レベル:5

スキル:クラフト Lv.2(ダンジョン素材でアイテムを2個同時に作製できる。)


生命力:30(5)

魔 力:50/50(10)

攻撃力:9(1)

防御力:9+5(1)

敏 捷:9(1)

器 用:30(5)

幸 運:30(5)


魔 法:なし

称 号:Gランク冒険者、スライムキラー

「えっっ!?いつの間にかスライムキラーゲットしてる!

 ステータスの伸びはいつも通りだけど、防御に+5が付いてるな。

 称号集めのステータスアップは、やった方がいいかもしれない。」



まだ時間はお昼過ぎだったが、レベルアップで魔力も全快になったしギルドに戻ることにした。



「五十嵐さん、五十嵐さんっ!スライムキラー取れちゃいました!」


「えっ!本当に取れちゃったの!?すごいわ、おめでとう!」


「ありがとうございます。効果は防御+5でした♪」


「東城君のステータスで防御+5は結構大きいわね。むしろ、レベルアップを目指して無茶するより、称号集めた方が堅実かもしれないわね。」


「ですよね。1ヵ月スライム狩りをして、確実に剣の振りとか力の入れどころみたいな技術は上がってると思うんですよ。なので、次はゴブリンかコボルトかどちらがいいか相談に来ました。」


「わかったわ。Fランクダンジョンの資料を持ってくるから、隣の応接室で待っててちょうだい。」



その後、応接室で五十嵐さんと資料を見ながらどうするのがいいか相談をした。

ダンジョンの1階層にゴブリン、2階層にコボルト、3階層にゴブリン、4階層にコボルト、5階層にゴブリン。といった具合に交互に出てくるらしい。

それなら1階のゴブリンを狩り続けるか?と考えたが、1階ではポップする数が少ないらしい。そして、ゴブリンにはメイジやアーチャーがいるため、先にコボルトキラーを取って敏捷をあげた方がいいのではないか?ということになった。

2層で狩りを始めて、数が足りなさそうだったら3層を早足で抜けて4層でコボルト狩り。


5月の目標が決まったので、4月の残りはゼリーのストック作りに行こうと思う。

ホテルのクローゼットの中はすでに一杯になっているが、5月は薬草を摘みながらコボルトだけを狙う予定なので問題ないだろう。



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