第4話「レベルアップ、そして追い出される。」
ポーションを朝晩と2回納品するようになってから、怒涛の勢いでスライム狩りに勤しんだ。今までは、ただその日を生きるだけに狩っていたが、魔石が手に入った分だけ早く装備の充実が近づくため、3階層の中ボス・ビッグスライムと5階層のボス・キングスライムを狙いに行くことにした。
この2種はビックゼリーとキングゼリーという大きなゼリーを落とし、魔石もFランクと一つ高くなるのだが、ドロップ率は普通のスライムと同じで、リポップは1時間に1回と効率が悪かったりする。
これなら、1階層でひたすらリポップしたスライムを狩り続けた方がいいと思っていたのだが、正直当時の自分を𠮟ってやりたい気分だ。
3階層からは色の違うスライムが出現し、色の違うゼリーを落とした。
それを薬草と一緒に手に持ってみると、新しいレシピがでてきた。
それからスライムダンジョンに入り浸り、判明したレシピはこんな感じ。
スライムゼリー(青)+薬草 → 下級ポーション
スライムゼリー(赤)+薬草 → 下級エーテル
スライムゼリー(黄)+薬草 → 麻痺ポーション Lv.1
スライムゼリー(緑)+薬草 → 解毒ポーション Lv.1
ビックゼリー(青)+薬草×3 → 中級ポーション
ビックゼリー(赤)+薬草×3 → 中級エーテル
ビックゼリー(黄)+薬草×3 → 麻痺ポーション Lv.2
ビックゼリー(緑)+薬草×3 → 解毒ポーション Lv.2
キングゼリー(青)+薬草×5 → 上級ポーション
キングゼリー(赤)+薬草×5 → 上級エーテル
キングゼリー(黄)+薬草×5 → 麻痺ポーション Lv.3
キングゼリー(緑)+薬草×5 → 解毒ポーション Lv.3
ポーションの中級は300円、上級は500円になる。エーテルや解毒系ポーションはその1.5倍〜2.5倍になるため、もうスライムがお金に見えて仕方がなかった。
スライム狩りとポーションの納品を続けること1週間。
「今回は青のキングスライムか。500円ゲットーー!!」
ーーザンッ‼ ザンッ‼ーー
ーーザンッ‼ ザンッ‼ーー
スライムの体当たりを躱しつつ、切りつけること数分。
ようやく核に剣が当たり核を砕いた。
「もっとステータスがあれば核に当てやすくなるんだろうけどなぁ…ん?」
魔石とゼリーを拾いながらボヤいていると、ピコンとレベルアップ音が聞こえた。
名 前:東城 幸(とうじょう こう)
レベル:4
スキル:クラフト Lv.2(ダンジョン素材でアイテムを2個同時に作製できる。)
生命力:25(5)
魔 力:40/40(10)
攻撃力:8(1)
防御力:8(1)
敏 捷:8(1)
器 用:25(5)
幸 運:25(5)
魔 法:なし
称 号:Gランク冒険者
「あぁ…やっぱり攻撃力とかは1しか上がらなかったか…。
スキルレベルが上がってるな。2個同時作製はありがたい!」
時間もいい感じになってきたので、スライム狩りは止めてギルドへ戻る。
3階のずっと借りっぱなしになっているネカフェブースへ向かおうとすると、店員さんに申し訳なさそうに声をかけられた。
「お客様すみません。今借りられているブースなのですが、中からスライムゼリーが何度もこぼれ出てくるのでなんとかして頂けないでしょうか?というか、もう出て行ってくれませんか?正直迷惑なので…。」
スライムゼリーの置き場がなくて、ブース内に無理やり積み上げていたのがこぼれ落ちてしまっていたらしい。二日前にも少し注意されたが、その時よりも増えてしまっているので完全にこちらが悪い。
「す、すみません。この後でポーション作ったら隣のホテルで部屋を借りて来るので、もう少し、あと1日だけ待ってくれませんか?明日には向こうへ移すので…。」
店員さんは、「もうギルドに納品してしまえよ!」という感じの目で見てくるが、これは俺の大事な商品になるんだ。一つも無駄には出来ない。
「わかりました。では明日中にこのゼリーをなんとかしてください。」
その後、今日手に入れたできるだけ単価の高いゼリーを選別して、ポーションを納品した。
その足で隣の冒険者用のホテルへ。こちらはネカフェよりも二倍の値段で1日5000円もする。お金の貯まるスピードは確実に遅くなるが、ネカフェを追い出された以上仕方がない。
鉄の剣と革鎧が手に入るように、一層スライム狩りを頑張ればいいだけだ。魔力も増えてポーションの作れる量も増えたし、なんとかなるだろう。
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