知らない天井と初登校
「ここは...」
目を開けると、いつも通り違う天井が見えた。
どうやらちゃんと異世界に来たみたいだ。
体の節々が痛む。どうやら床に寝かせられたらしい。
こういうのはベットで起きるのが普通らしいが...
それよりも、辺りを見渡すと、ベットとソファーしかない上、扉の下には靴箱がある。
どうやら、ここはホテルのようだ。なぜわざわざと言いたいところだが、私たちが通う学校は
寮暮らしだからあえてホテルにしているかもしれない。
まあ、記憶改ざんが面倒でホテルに放り込んだのかもしれないが。
そこらへんは神様のさじ加減なのであまり気にしないことにした。
私はふと、近くにあった鏡を見た。
そこには銀髪サイドテールの美少女が立っていた。
紛れもなく私、ロコウ・メアリルの姿である。
転移時に別の体になっているかもしれないという考えは杞憂にかわった
「うん、体に異常はないみたいだね。っと、礼二を起こさないと」
ふと隣を見ると、黒髪でちょっと気弱そうな美青年がそこに眠っていた。
私は同じく転移してきた安崎礼二だ。
私の恋人でもある。
私は彼の体を揺さぶると、彼の目が開いた。
「うん...っと、ここは?」
「ホテルだよ。どうやら神様が気を利かせてくれたみたい。どうする?とりあえずこの異世界にきた理由と聞かされていた世界背景でもおさらいする?」
「そうだね、あっちでも確認したけど、念のためお願いします」
「まず、この異世界は、別の世界に存在するエロゲーの世界と全く同じであるってことは理解している?」
「はい、そのエロゲーでは異能と呼ばれる普通の人間が扱えない能力が存在していて、異能が当たり前のように日常に溶け込んでるんでしたっけ。」
「そうそう、しかも異能力者は人口の1/3ある上に、異能が存在する世界の中でもトップクラスに異能力者と非異能力者との関係が良好なんだって。まあ、私調べの中ではだけどね。そんな世界に、突如として異変が巻き起こる。」
「僕たちはその原因を探るべく、この世界にやってきたってことですね」
「そうそう、この異変が続けば、元のエロゲの物語が改ざんされ、この世界が滅びかねないわけだね。」
「それを防ぐために、僕たちに依頼が来たと。」
「そうだね、エンディングである10月まで物語の改ざんから守り切るか、原因を取り除けば、依頼は解決ってわけだね。」
「でも、物語の改ざんから守り切るって、どうやってするんです?」
「この世界では、南沢高校というところに在籍している加賀裕一っていう人をを中心に物語が展開されているから、その人と周りの人物を怪しい奴から守ればいいんだよ。」
「なるほど。どうやってその人とコンタクトするんですか?」
「簡単だよ、神様がいろいろしてくれたお陰で私たちは生徒として特別に入学出来るから」
「なるほど、じゃあ、問題なく学校に入れるってことでいいんですね」
「そうだね。あと、その南沢高校には他の神様によって異世界転生した転生者がいるらしいからその人とも協力して欲しいって神様は言ってたね」
「とはいっても、転生者なんて見つかるんですかね?」
「大丈夫、転生者は決まった習性があるから、それを見つければ余裕だから。」
「なるほど。ところで、今っていつなんでしょうね」
「待ってね、神様からもらったスマホがあるから。」
私はポケットから新品のスマホを取り出すと、時刻を確認した。
表示された時刻を見て少しびっくりした後、
「ねえ、始業式って、4/1だよね。」
「うん」
「今日は4/1なんだよね。」
「うん」
「しかも、もう始業式まで30分しかないんだよね」
「うん、ってじゃあ急いで支度しないと!」
二人は急いで荷物をまとめてホテルから出ると、学校に向かって走り出した。
「というか、南沢高校ってどこにあるんですか!」
「とりあえずついてきて、地図アプリを使えば、学校までの道のりはわかるから」
私がそういうと、スマホを器用に扱い、地図アプリを使って学校までの道のりを検索した。
「ずいぶん手馴れてますね」
「まあね、っと、出た出た。えーっと、ここから歩いて5分...ってわざわざ走らなくてよかったね」
「まあ、遅れるよりは断然いいですから」
「時間も余ってるけど、先に学校に行く?」
「ですね」
私たちは、南沢高校へと向かっていった。
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