第31話

 魔法陣に乗ったら、第1階層に戻った。

 ここは…最初に転移した場所かな?

 目の前の扉と『テキントリー伝説洞窟』という文字の入った看板が、第1階層という事を表している。


「ここから外に繋がるんだよね」


 ユトがそんな事を言った。


「ちなみに、ユトは何年ぶりに外に?」


「わからないけど…1年ぐらい?」


 まじかよ…それってかなりの引き篭もりだね。てっきり2.3ヶ月だと思ってたわ。


そして俺達は扉の方に…


ズボッ!


…もう勘弁してくれ…


 俺は扉を開けた。

 そこから輝く夕焼けの光が差してきた。まぶし…。


「じゃ、私は魔王城に行くからここでお別れね」


 ネーネルが言った。やった。


「おけ、じゃ、また。…いや、一生来なくていいから」


「分かったわ。また来るよ」


 そう言ってネーネルは転移魔法を使って姿を消した。

 っていうか人の話聞いてたか。アイツは。

 俺はそう思いながら呆れた。

 そういえば、と、ユトの方を見たら、


「う…眩しい」


 と、未だテキントリー伝説洞窟の中にいた。


「おーい。早く出ないと閉まるぞー」


「え?マジ!?」


 そう言ってユトは外に出てきた。


「じゃ、行こっか、街に」


 そう言って俺たちは街へと戻った。


 ///天界///


「…あの人の隣にいるショタの名前が分かったわ」


「大丈夫フィーちゃん?そんなちょっと切れた様な感じにならなくても…」


「違うぞカティーナちゃん!あの…ユトという奴がドラゴンを倒したのよ!」


「もしかして…殺すの?」


「…何考えてるのカティーナちゃん?ユトくんにご褒美をあげるのよ!」


「…え?」


「あのドラゴンをほぼ1人で倒したもの!それなりのものを用意するよ!」


「ちょっと考えてることが分からないんだけど…」


 ///現実世界 ツカサゴン 冒険者ギルド///


 俺はいつものギルド職員のところにいった。


「テキントリー伝説洞窟の探索。途中までですが、完了しました」


「そうですか、お疲れ様です」


「あ、あと素材を買い取って欲しいです」


「素材?珍しいですね」


 ここ、冒険者ギルドでは、素材を買い取ることができる。

 普段は持ち帰るのかめんどくさいとかそういうので持ち帰ってないでこのままファイアーボールのなかに突っ込んでるけど、今日は持ち帰った。なにせ…ドラゴンだしね?結構高いでしょ。


「はい。ドラゴンの皮と血です」


 ダガンッ!!!!


 ギルド職員が盛大に転けた。


「大丈夫ですか!?」


「大丈夫…で、何の皮と血?」


「ドラゴンの皮と血です」


「本当なのね…」


「あれ?そんな大変なものだったりしますか?」


「そうよ!しかも、この皮は…レッドドラゴンね!?」


 うおぉぉぉ…職員が興奮してる。てゆうか、よくわかるな、皮でわかるって…この人、かなりのドラゴンマニア?


「そうです。この、ユトって言う人が1人で倒してくれました」


 ざわ…ざわざわ…。


 周りから騒ぎ声が聞こえてくる。あれ?これ、マジヤバドラゴンフラグ?


「レッドドラゴンを知らないの!?」


「知らないですね」「僕も知らない」


「知らないで倒すなんて…」


 職員によると、このレッドドラゴンは星15以上が10人以上で討伐するものらしい。

 この少年…チートやん…ずる過ぎやろ…。

 ちなみに伝説洞窟の第10階層にいたと聞くと、「そんな深くにいたなんて…」と、呟いていた。

 この後、10000ケット位貰ったが、全てユトにあげた。

「僕はただ人の手伝いしただけなので、別に大丈夫ですよ」と、言っていたが…お前がMVPなんだ…しっかりと責任もって使ってくれ…。

 そんなちょっとした一大事が終わり、マイホームに戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る