第30話

 ///天界///


「第10階層はなんとドラゴン!この高耐久の鉄壁を越えられるかなぁ?さあ頑張れ!」


「フィーちゃん!やりすぎだよぉ〜!」


「大丈夫カティーナちゃん!この『中ボス』を倒せたら第1階層に戻れる魔法陣を展開するから!」


「そう言う意味じゃなくて…ここで死んじゃったらどうするの〜!」


「大丈夫。そんな簡単には死なない!」


「大丈夫じゃないよぉ〜…あ!死にそうだよ!」


「ふはははははは!どうたこれがドラゴンの力だ!追い詰めろ追い詰めろ!」


「…あれ?ドラゴンがどんどん切り裂かれていく!」


「なぬ!?やばいぞ!死ぬぞドラゴンが!」


「やったぁ〜あの人たちが死なずに済んだぁ〜…」


「誰だドラゴンのところにいるやつは!」


「落ち着いて!もうちょっと見てよ!」


 そうしてフィリアーネ達は再び人間観察ストーカーを開始した。


 ///現実世界 テキントリー伝説洞窟///


「このドラゴン…」


「え〜と…誰?」


 俺は少年に近づいて聞いた。少年は気がついたのか、こちらを向いた。少年は、緑髪緑目。服装までもが緑だった。オール緑。グリーンマン。そんな文字が頭に浮かんだ。


「あ、人。僕はね、転生者のユトっていうんだ。よろしく」


 そうか、転生者の…転生者の!?


「転生者なんだ…これで三人目…」


「え?他にもいるの?」


 ユトが食いついてきた。


「ちょっと。何先に話を進めてるの?私たちの自己紹介が終わってないわ」


 ネーネルないす。


「あ、そうだね。ごめん。」


「別に大丈夫。俺の名前は…ないからテキトーに行って大丈夫だよ。あ、後転移者ね。」


「私はネーネル。魔王軍ヘキサゴンの1人、永遠の最強魔法使いエターナルマジシャンだわ」


「へぇ〜よろしく。」


 よし、自己紹介が終わったぞ。


「で、転生者は現状、シズクって奴とサーリって奴、シズクは同じ街に住んでてね。サーリは俺の隣街で店を経営してる。」


「そうなんだぁ…」


 さあ、話が終わったから帰りたい所だけど…帰れる?

 俺はユトに聞いてみる。


「ここから帰れる場所ってあるか?」


「うーんとね…ないだけど…


 そういってユトが指を差した。そこには、『帰り専用』と言う看板が立っている魔法陣があった。


「おぉ〜さすが神様」


「何で神様?」


 あ、そうか、ユトは知らないんだ。


「ここはね、神様のフィリアーネって言うバカでアホで空気読まない奴が造った洞窟。テキントリー伝説洞窟だよ。多分俺たちが楽々に進んでいったから、敵が魔改造されたんだと思う。」


「へぇ〜」


 そこまで言うと、ネーネルがパンッと、手を叩き、


「ささ、ここで話してるのもやだし、面倒だし、さっさと入っちゃいましょ!魔王城に早く帰って魔王様に報告しなきゃいけないもの」


 そうたね。さっさと入っちゃおう。


 俺は、ちょっとドラゴンの素材を持ち、魔法陣に行った。

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