第7話

 この人が異世界の人。そう言われたらなんか納得出来た。けど…まさかこんなはやく異世界人と出会うなんて…

 しばし沈黙が続いた。


「え〜と…君、どこ出身?」


 沈黙を貫いたのはシズクさんの方だった。


「日本。シズクさんは?」


 シズクさんは驚いた後に、


「日本だね。」


 だろうなぁ、ラノベとかでも異世界転生者って大体日本人だし…


「そういえば、君…」


「シズクでいい」


「じゃあ、シズクさんさ、メンバーは?」


「さん付けしなくていいのに…あ、ちなみに1人ね。」


「え?」


「だから、1人だって」


 こいつ…かなり可愛そうなやつだな、嗚呼、哀れ哀れ。


「…ねえ、今私が哀れとか思った?」


「いや、別に」


 シズクは、追跡はせず、


「とりあえず、来て」


 と、にっこり笑顔で言った。




 着いた場所は廃墟のような所だった。


「ここは?」


「私の家。視覚阻害を掛けてるから廃墟の様に見えるだけ、」


「へー」


 シズクさんの言葉は嘘ではなく、本当に入ってみたら豪邸見たいな場所だった。


「ささ、入って。」


「お邪魔します。え、広」


 そこは元の世界の僕の家より数倍大きかった。しかも、ほこりとかゴミとか無い。多分魔法の応用で何とかしてるのだろう。と、予想がついたので聞かない事にした。

 僕は家を探索しようとしたら、


「あ、ちょっと待って。」


 そう言われ、ある部屋に連れて行かれた。

 そこは、カーペット一枚敷いてあるだけのただの客招き用の様な場所。そして、シズクさんはカーペットを取り外した。そこには、


「じゃじゃ〜ん!」


 魔法陣があった。


「これは?」


「転移の魔法陣。だけど、短距離じゃなくて、銀河を超せる距離まで行ける特別な魔法陣なんだ。これ、多分だけど本を読んでみたらさ、10000年前、伝説の魔女が別世界に行くために使ったとか、そういうのが書いてあったから、それなんじゃない?」


 なるほど…え?


「ていうことはさ、これ、日本に帰れるって事?」


「そゆこと」


 マジか、こんなにあっさり帰れる方法が見つかって良いのか。けど、ひとつ疑問に思う。


「これ、シズクさんは帰らないの?」


「うん。ここの方が知識あるし…それに、家しらないし。」


「そっか、まあ、僕も帰れないけど、」


 僕達が今ここで日本に帰ったとしても、迷子になるだけだ。

 僕も帰らない。例え攻守ステータスが1だとしても、過酷だったとしても、


「僕は、この世界に興味があるし、君と同じ、日本に帰ったとしても、迷子になるからね、」


 この、剣と魔法とレベルとステータスが全てのこの世界を、思う存分、


 楽しんでやろうと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る