JKローリングみたいなファンタジー作家になりたかった俺は現在、美しい女神が授けてくれた半裸のおっさんと異世界ライフを送っています…
え?主人公を好きにならない美少女キャラが出てくる?ラノベじゃねぇからそれ…
え?主人公を好きにならない美少女キャラが出てくる?ラノベじゃねぇからそれ…
「正気ですか?」
「は、はい、正気です」
麻生雄一の前に一人の美少女が立っている、ふわふわの耳、ふわふわの尻尾、獣人と言うのだろうか、なにやらペラペラした書類を大事そうに抱えて雄一をちらちらと上目遣いで恥ずかしそうに見ている。
「申し訳ありません、聞き間違いの可能性があるので、もう一度お願いできますか?」
「で、ですから、私を貴方のパーティーに入れてください!」
「正気ですか?」
「あ、あの!このやりとりもう三度目なんですけどっ!」
麻生雄一は混乱していた。
彼がどれくらい混乱していたか…
初めて出来た彼女が家に来た際、将来の夢の欄に【世界一の大剣豪】と書いた卒業文集を何の断りもなく勝手に読まれ、【う、うわぁ…】と信じられないスケールでドン引きされた時と同じ位には混乱していた。
「確認ですが…この場合パーティーと言うのは共に旅をする仲間であって、友人とたこ焼きを作り続けるアレではないんですが…ご理解頂けてますか?」
「ゆ、友人とたこ焼きを作り続けるアレと言うのが何かはわかりませんが、本来の意味で理解できてます!」
「正気ですか?」
雄一はシンプルに正気を失っていた。
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事の発端はパーティー拡張の必要性を雄一と伊藤さんで決めた事にあった。
雄一が伊藤さんに人員補充の有用性を説明する為には、おおよそスペースシャトルを月面周回軌道に乗せる為の打ち上げ軌道計算をするのと同じくらいの労力がかかったが、雄一にとってこの先永劫、異世界をブリーフで中年のおっさんと2人きりで旅をして回るよりは遙かににマシだと感じられたので大した問題にはならなかった。
「出来ましたぞ麻生氏!」
上機嫌でペラペラした書類を持った伊藤さんがこちらに近づいて来る。
二人は仲間を募集するにあたり、ギルドのパーティーメンバー募集掲示板を使う事にした。
ここには様々な募集要項を書いた求人が張り出されていて、所属するパーティーを探している冒険者はここで共に冒険したいパーティーを探し直接交渉する事が出来ると言うシステムで、ほとんどのパーティー結成はこの方法で行われていた。
伊藤さんは【どうしても仲間を迎えたいとおっしゃるならせめて命を預ける仲間の募集要項の草案はワタクシに!】と言うので、取り敢えず草案だけなら…と雄一が折れる形で現在に至る。
「みてくだされ麻生氏!おいかがですかな?」
「ええと…え!?意外とちゃんとしてる!これならもしかしたら何人か応募が…」
【どうせ幼稚園児みたいな絵でも書いてきたんだろう】とたかを括っていた雄一は存外文章然としている伊藤さんの草案に驚いて、きちんと目を通してみた
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【急募】
⭐︎仲間の人募集
⭐︎給与:ドングリ・野草・川の水(※研修期間有り:研修期間中はドングリは小さめの物になります)
⭐︎交通費全額無支給
⭐︎就業時間、365日24時間
⭐︎経験・年齢・性別不問(特殊な呼吸や領域展開出来る方、へんな実の能力者の方優遇)
戦闘経験ゼロの勇者と中年のおっさんが主体の職場で、どんな方でも安心して働けるアットホームな環境です!未経験の方でも安心!ベテランのもっと未経験な先輩達に優しく仕事を教えてもらえます!
面接にお越し頂いた方全員に、今なら強制的にパーティーに加入して頂く権利をプレゼント!まずはお気軽に面接にお越しください⭐︎
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「くるかぁぁぁぁボゲェっ!!!」
「えっ!?」
「【えっ!?】じゃねぇぇえぇ、なんですかこのタウ◯ワークのアルバイト募集みたいなのは!んん?別に良いのかそれは…いや、そうじゃなくて!もうどっから突っ込んだらいいのか分からないですけど、こんなんじゃ絶対誰も来ませんよ!」
「はっはっは、ワタクシの自信作ですぞ?そんな訳がないでしょう!」
「アンタのその自信は何処から来るんだよ…メンタル強すぎるだろ…とにかく、こんな草案じゃダメです、きちんと書き直さないと…あそこの掲示板使うのタダじゃないんですよ?2ヶ月契約でしかもその間は掲示物の交換・更新は出来ないんです…そもそも掲示希望も多くて掲載も抽選なんですからもっと慎重に…」
「ご安心ください麻生氏、我々が掲載権を獲得出来ない事は100%有りません!」
「え?どうしてですか?」
「こちらをご覧下され」
そう言って伊藤さんは雄一が持つペラペラの紙の裏側を指差した
【掲載許可済み】
そこにはデカデカと赤いハンコが、このトイレットペーパー以下の価値しかない紙に捺印されていた。
「先日から2人で額に汗して労働して得た給料の約8割に当たる掲載料も支払いを済ませておきましたぞ!出来る男は2手3手先まで仕事を済ませておくものです!はっはっは!」
雄一は生まれて初めて明確な殺意を覚えたが、コイツを殺して罪に問われるのはどう考えても割に合わないと考え直した。
かくして求人騒動は始まり、よくわからないウチに猫耳娘が仲間になる事になった。
雄一はPV数とブックマークを狙うなら、同じ娘なら今は馬の方が良いんじゃないかなと思ったが、口には出さなかった。
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