光輝の今の住み処にて
「ただいま」
「おかえりなさい、お兄ちゃん!」
「おっと! ただいま、
幸村と別れて、今の家に帰宅すると
この子は小学4年生で、元気一杯の甘えん坊だ。
俺が現在お世話になってる高崎家は、父親の兄が婿養子となってる親戚の家だ。
雪菜の父親である
ついでにあの毒家族とも縁を切り、電話番号と住所を変えた。
元々引っ越しの予定だったタイミングなので、そこもすんなりいったみたいだ。
「お帰り、光輝。 学校はあれから相変わらずか?」
「ああ、あの教師のせいでな。 クラスメイトの子が相変わらず差別的にやられた」
「あの教師は、他の学校でも問題を起こしていたのに、何故九重学園に就けたんだろうな」
「ホントにね」
後から出迎えに来た啓介叔父さんと
あの糞教師の
なので、学校がある日は常に聞いてくるようになった。
歪んだ優生思想を掲げている以上、俺にも迫害の可能性があるからだ。
「もし、あの教師がこれ以上調子付く事があったら退学も視野に入れて、通信制学校への入学し直しをプランにした方がいいかもな」
「クラスメイトの皐月ちゃんだったかしら? あまりにも可哀想過ぎるわね。 平凡だからって見下すなど、教師としてあってはならないのに」
「あの教師は、前の学校でも同様の事をやっていたからな。 多数の保護者からのクレームがあって公立には入れなくなったがなぁ」
鞄や上着を叔母さんが持ちながら、叔父さんと共にそう嘆く。
皐月の事も気掛かりだが、そこは今は幸村と楠家や大谷家の動きを信じるしかない。
俺自身、前世の迫害プラスこの世界での実の家族からの迫害によって、いつ精神が壊れてもおかしくはないからな。
それによるブチギレで、みんなに迷惑を掛けたくはない。
いくらあの殖栗がクラスの皆や上級生に嫌われてもだ。
「ママ友の柚希さんも今回の件で皐月ちゃんが被害に遭ってるから、ショックは大きいでしょうね。 あの人は曲がった事が嫌いだから、特にね」
彩那叔母さんは、ママ友であり皐月と美月の母親である柚希さんの事を心配していた。
柚希さんは、夫の真人さんと共に双子を大切に育ててきた。
しかし、周囲が皐月と美月を比較して美月を持ち上げ、皐月を落とすという、ある意味で皐月への迫害が始まった。
双子の両親や本家である楠家はそれを止めようとしたが、逆ギレされてますますエスカレートしていき、今に至ると叔母さんは嘆いていたなぁ。
もしかしたら、それも殖栗が関わってるんじゃないかという、近所の間で噂されているのだとか。
近所にも前の学校での殖栗への被害に遭った子達がいたらしく、そこから広まっているようだ。
「とにかく、夕飯にしよう。 私は今日は仕事休みだから、作っておいたぞ」
「啓介さんの夕飯、楽しみだわ」
「お父さんのご飯、美味しいもんね。 お母さんに匹敵する位だよ」
暗い話を打ち切って、そろそろ夕飯を食べようと啓介叔父さんは言ってきた。
今日の夕飯は、啓介叔父さんが作ったようだ。
叔父さんは今日は仕事休みだからこそ、料理をする時間があったんだろう。
味も彩那叔母さんに匹敵するらしい。
そんな訳で、俺は雪菜に腕を組まれたまま、キッチンへと向かった。
先に手を洗わないといけないんだけどなぁ。
さて、ここまではいいとして、問題は寝る時だ。
悪夢を見ないことを祈りたいが、叶わないだろうなぁ……。
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