第23話 レイリー
俺とレイリーでナンナ家へ行き、ルーナとヒナにレイリーを紹介する。
「おはよう。ルーナ、ヒナ。今日は俺の友人を紹介しておこうと思ってな。コイツも冒険者登録をして、毎回ではないがついてくるかもしれないが良いか? お、バジュラ、コイツは味方だからな。匂いを覚えておいてくれ」
「おはようございます。レイリーと言います。マスター……矜侍さまのゆ、友人です。今回は私も冒険者登録をしたいと思っていた所で、マスターにお誘いいただきました。よろしくお願いします」
レイリーは俺のことをマスターと呼んで、サポートシステムのせいか友人と言うのを頑なに拒んでいたのだが、さすがにルーナたちの前では友人と言うことを納得してもらった。
見た目の年齢は俺と大差ないし、問題ないだろう。
しかし、少し低くずっしりとしたバリトンボイスは容姿も相まって似合っているな。
女性が合コンで呼ぶ友達は自分より可愛くないと聞いたことがあるが、本当にそんなことを考えて選ぶのか?
それって友達じゃないよね?
芸人さんも後輩にナンパをさせて実は~○○さんがいるんですよみたいに誘うとテレビで言っていたような気がしたが……、いや完全に不審者の勧誘ですやん。
ついて行っちゃダメだぞ!
だいたい、人の好みなんてそれぞれなんだから、自分の方が可愛いと思っていても相手には友人の方が……って、俺がレイリーを引き合わせるのは合コンでもないし、ナンナさんは既に畑仕事に行っていて、ルーナもヒナも年齢が若すぎるのでどうでもいい話か。
「レイリーって言うのね。私はルーナ。よろしくね!」
「ヒナはヒナだよー! でもにいには とおくからきちゃのに、おともだちいたんだね」
「わふん」
そう言えば、急に友人がいるのも不自然か?
ただ、ナンナ家を出てからは、ルーナたちとは2日に1回は会っているが、それ以外の間に友人を作ることもあるだろう。
たしかに、この短期間で信頼しすぎているような紹介だが……それはスルーするしかないか。
俺にとっては絶対裏切らないし、ルーナたちに対しても絶対的な味方で間違いないからな。
「ああ、一人で行動中にレイリーと出会ったんだがうまが合ってな。俺を兄のように慕ってくれてるんだ」
レイリーが俺のことを慕ってくれている設定にしておけば、俺に絶対服従のような行動をとっても多少は問題ないだろう。
「マスターに出会えたのは幸運です」
「ますたーって レイリーおにいちゃんのごしゅじんちゃまが にいにみたいだね!」
「わふん」
ヒナがあっさりと確信をついて、しかもバジュラが同意しているが、まあ幼女の言うことだし気にしても仕方がない。
それにしてもヒナは俺が二週間もナンナ家にいたせいで、にいにと呼んでくるが俺と同じか少し若く見えるレイリーはおにいちゃん呼びなんだな。
にいにとおにいちゃん呼びに何か違いはあるのだろうか?
俺は助けられて意識が戻った時からヒナにはにいに呼びをされていた気がするが……。
レイリーが俺よりカッコ良いと言って今まで俺にまとわりついて来ていたヒナが、もし俺ではなくレイリーの方に懐くとショックがデカいかもしれない。
ヒナの方から俺に抱き着いて来ていたから、ケモッ娘幼女を撫でまわすことができていた。
「はは、どうも慕ってくれているみたいでね。レイリーは旅人として他国から来たみたいでこの辺りにあまり詳しくなくて、息があったんだ。とりあえず冒険者ギルドに行こう」
俺とレイリーは昨日、レイリーを周りに紹介をするのにどうするかを考えて、旅人という設定にすることにした。
その後一人でレイリーは町の探索をして色々情報を集めたみたいだが……。
数時間で俺が知っているようなことは全て網羅して、この国や近隣の情報まで手に入れていた。
優秀な眷属ってありがたいね。
断じて俺の能力が低いわけじゃないぞ! レイリーが高すぎるんだ!
俺が低いんじゃない、レイリーが高いんだ! ドヤァ。
俺たちはレイリーを交えて世間話をしながら冒険者ギルドへと向かうのだった。
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