第22話 サポートシステム召喚

 朝、目を覚まし身支度を整えると、俺は今日の予定を考える。

 今日はルーナとの約束もないので、たまりにたまったDPダンジョンポイントをどうにかしようと考える。


 これだけDPが溜まっていれば、ダンジョンマスターという職業的なことを考えれば、ダンジョンを作るべきだろう。


 「問題はどこに作るかなんだよな」


 そもそもダンジョンを作ると言うことは、人類の敵側だ。

 もちろん、ダンジョン内の鉱物や植物、魔獣を倒して得ることのできる素材や魔石の恩恵は計り知れないが、当然それは命がけだ。

 ダンジョンには自然由来のものとダンジョンマスターがいるものとにわかれるが、特にダンジョンマスターがいる場合は、悪意を持って侵入者を殺すことだってできるのだ。

 そもそもがダンジョンに侵入して中のものを奪うイコールそれはダンジョンマスターの家に強盗に来ているのと同じなのだ。


 攻略されダンジョンコアが破壊されれば俺も死ぬことになる。

 まあ、のじゃロリ狐神の話だと同じダンジョンマスターか英雄クラスの人物にしか壊せないという話なので、それ以外なら俺が直接戦って負けなければ何とかなるような気もするが……。


 しかしせっかくの拠点となるダンジョンだ。

 幻想水滸伝の主人公の城ではないが、大きな湖の中の島みたいなところに作りたいのだが、調べる限りでは近隣にないんだよなぁ。

 しかも一度作ると、ダンジョンを移動させる場合にはそれまで使用したDPは戻ってくる事はなく、作ったダンジョンは当然なくなってしまう。


 そうなると、しっかりとした場所を選定してダンジョンを作りたいが……。

 ただ、早めに作ることも当然メリットがあって、敵対するであろう先に転移して来ているダンジョンマスターとの闘いにおいて、攻め込まれた場合には少しでも戦力を拡充しておくことができることは重要だ。


 まあ、自分を強くして俺が全てを倒すということも、DP使ってスキルや魔法を覚えれば可能な気がしないでもない。

 ダンジョンマスターだからダンジョンを作らなければいけないという発想から自分を強化すると言う発想転換も面白いのか?


 「でもダンジョンポイントが大きく溜まるのが基本的にダンジョン内で起きた出来事にたいしてなんだよなぁ」


 異世界から転移した経験を活かすなら、ダンジョンを作ってコアルームさえ守られるのなら、遊園地やテーマパークのようなアトラクションを作って殺伐とした戦いではなく、感情を動かしてDPを集めることも可能かもしれない。


 「よし、決めた! 前に魔法の練習をした所が少し開けていて大きな岩場も点在していた。あそこなら近いし悪くない」


 こういう時は悩みすぎるのも良くないだろう。

 俺は町を出て少し歩いた所に少し開けた場所があり、魔法を撃ったりするのに適した大きな岩があったりする場所にダンジョンを作ることに決めた。




 俺はダンジョンを作ると決めたその場所に移動すると、コアを取り出して意識を向けると透明なボードが現れてメニューが表示される。

 そこから、ダンジョン1階層形成DP100,000を使い1階層を作成する。

 入り口はゲートのような形をしていて、そこを通ると洞窟タイプのダンジョン1階層へと移動する。


 階層自体はいくつか種類があるようだったが、洞窟タイプであれば1階層を作成するのに100,000DPでつくれるようだったのでとりあえず1~3階層を作成する。

 階層移動はその階層の奥に魔法陣があり、それに乗ることで次の階層に行ける仕様のようだった。

 ちなみにコアルームは3階層に魔法陣があり、そこから最後の俺の心臓部と呼べるコアルームへと繋がるようだった。

 恐らくダンジョンの最深部の魔法陣がコアルームへと繋がるようになるのだろう。


 現状では3階層まであるが、魔法陣を発動させないようにして階層移動できない状態に設定しておく。

 進入口のゲートも今は見えないように設定した。

 

 「とりあえず1階層の内部を作成してと」


 俺は迷路のように1階層の通路を作り小部屋を作成しながら1階層を作り上げていく。

 通路には時折、スライムポップ地点形成3,000DP(永続)、小部屋にはコアのレベルが上がって作れるようになっていたゴブリンポップ地点形成8,000DP(永続)を配置して行く。

 さらにポップした魔物が倒された場合にはリポップ地点を形成していれば、一定期間後にそこから復活するようだった。

 リポップ地点形成はポップ形成の半額ポイントで作ることが可能だったので、それぞれポップ地点を形成した数だけ配置する。


 「よし、1階層はこんなものかな。次は2階層を作成していこう」


 1階層を作り終えた俺は2階層も同様に作成していく。

 ダンジョン内には水場やコケ類の配置も出来ることが判明し、自然に見えるように配置する。

 2階層はゴブリンだけが出現するようにした。

 やはり階層が上がるにしたがって少しずつ強くなっていく感じを出したいからね。


 「次は3階層……とその前にコアのレベルがアップしたことで召喚できる魔獣も増えているが、コアレベル3でサポートシステム人格化、そしてなんとレベル4でエクストラモード限定スキルである『地球のものを等価交換で取り寄せる』が追加されているんだよなぁ。どちらも取得する場合は100万DPか……」


 レベル3で取得可能なサポートシステム人格化って説明を見る限りだと、ダンジョンマスターの眷属が知識込みで召喚できるとあるので、自分の代わりにいろいろサポートをしてくれるキャラが召喚できるのだろう。

 ラノベだと美少女サポートキャラというのが定番で、まさに相棒とヒロインを兼務した全てを任せることができるお助けキャラが召喚できるのではないだろうか?


 そして『地球のものを等価で取り寄せるスキル』もエクストラモードで始めている以上は取得するのが当たり前のようなスキルだ。

 しかしどちらも取得するためにはそれぞれ100万DPが必要だった。

 現状ではどちらか一つしか取得できない。


 俺は迷った末……、サポートシステムの人格化をすることに決めた。

 だって可愛いもしくは美人な女性にサポートされたい。

 これは仕方のないことなんだ。

 俺は自己弁護をしながら、100万DPを使用してサポートシステムの人格化発動させる。


 その瞬間、目の前に光が集まり……長身の人物が形成されて行く。

 なんてドキドキの演出なんだ!


 「マスター、召喚をしていただきありがとうございます」


 目の前に立ったその人物はバリトンボイス・・・・・・・で俺のことをマスターと呼んだ。


 「あ、あぁ……。そうか。うん……そうか……」

 「マスター? どうかなされましたか?」


 なぜか執事服をまとったそのイケメンは、俺が失意の動揺を隠せていない返答をしたことを心配げに聞いてくる。


 「ああ……いや、性別が男なんだなってな」

 「はい。もしや女性が良かったのでしょうか? それは申し訳ありません。性別を選ぶためにはコアレベル5が必要です。ただ……一度サポートシステムの人格化をしますと、2度目は私が消滅した後でなければなりません。申し訳ありません」

 「いや、良いんだ。勝手に女性が召喚されると思っていただけだからな。ところでどこまで理解をしている? と言うか名前はあるのか?」

 「名前は決まっていません。マスターのお好きにお呼び下さい。私が理解していることですが、ほぼ全ての情報を認識しております。コアとマスターは一体化しておりますので、コアを得てから経験したことは全て知識として覚えています」

 「なるほど。ではまずは名前だな。そうだな……お前の名前はレイリーだ」

 「ハッ! このレイリー、粉骨砕身マスターをサポートさせていただきます」

 「ああ、よろしく頼むよ」


 俺は召喚したサポートシステムをレイリーと名付けた。

 女性が召喚されると思って少し取り乱してしまったが、召喚してしまったものは仕方がない。

 絶対に裏切らない優秀な部下ができたと思えば、十分すぎることだろう。

 

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