第13話 ロルカの心



 もしも剣に目があったとしたなら、その目を見開いていたであろう。

草むらをかき分け、時には獣道を歩き、辿り着いた先に立派な道がある。

そして、その向こうには、栄えているであろう街が見える。


 そこには、元あった風の村としてのひっそりとした佇まいは無い。

それどころか風の村は妖魔達によって破壊されたのだ。

その村が、まるで栄華を誇っているかのように再生している。

パステルナークは立ち止まるようにベディエに伝えると、素早く念通力を消す。

既にパステルナークの放った念通力を悟られているかもしれない。


「どうしたの?」


「あの街は妖魔達に巣食われている」


「妖魔が居るの?」


「そうだ、迂回しなさいベディエ。今の私達では勝てない。エリオット達と合流するまでは堪えるしかない。行きましょう、ベディエ」


「分かったよ、母さん」


「この街を迂回して歩けば森に出る。その森を破壊されていなければ、そこには小川があり、多くの薬草が繁っている。そこまでは休まずに進みましょう」


「もし、森林が破壊されていたら?どうすればいいの?」


「弱気なことを言ってはいけません。一度決めたら信じなさい。貴方のその胸に巣食っている不安を取り除きなさい。その迷いを捨てなさい。そなたの父は決して勇敢な騎士であった訳ではない。エリオットやアラゴン、神聖なる白い鹿に助けられながらも岩山の王の前に立ったのだ。私が言いたいのは、協力して助け合って戦わなければならないと言うことではない。ベディエ、そなたの父は弱音を吐いたことなど一度もなかった。信じたものを最後まで信じ続けた。ロルカ王とはそういう人なのですよ」

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