第12話 ロルカの時



 朝が来た。

ベディエは、乾燥したコーンウォールの実をかじりながら歩いている。

ある道に来るとパステルナークが息を吐くような声を出す。


「母さん、どうしたの?」


「ここだ、ここでそなたの父は初めて妖魔を斬った」


 ベディエは立ち止まると周りを見る。

ただ草原が広がるばかりで、草が風に吹かれて揺れているだけ。


「そなたの父は、私を信じて歩き、ここで初めて妖魔を斬ったのだ」


「僕らは、父さんが居た時代の国に来てるんだね」


「まさか我らが戻って来なければならないことになっていようとは。行きましょう、このまままっすぐに進めば、エリオットとそなたの父が修行した村に出る」

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