10月31日② 浮気

また明日と言ったが、彼女にスマフォの待ち受けがバレ、拗ねられていた。


俺のスマフォの待ち受けやロック画面が“あの子”なのは言うまでもない。ちなみにパソコンの壁紙も“あの子”だ。こっちもバレた。


お陰様で「浮気だ!」と仰られたのは言うまでもない。


一応、彼女とあの子では次元が異なる話をしてみたが、抱きしめられ、「そうやって、すぐ、浮気するんだ……」と甘ったるく囁かれた。


普通の定義は分からないが、きっと、普通なら、心臓の鼓動が高鳴ったりだとか、何かこう、起きるんだと思う。けれども、俺はと言うと、特に何も起きず、嬉しいのうの字もない。


何か自分に欠陥でもあるんだろうと言う気分にすらなる。


明日から仕事が始まるが、彼女がいることはバレないよう努力したい。彼女の顔面偏差値の高さがバレてみろ。俺の悩みは嫌味と化し、誰にも理解されず、非難されることは目に見えている。


多分、この日記をこうやって書いてるのも、彼女の顔を知らない誰かに弱音を吐きたいからなんだ。


彼女といると、段々と俺がおかしいような気がしてくる。彼女の顔について、世間様と同様に綺麗と言う認識は取れる。でも、だからと言って何もないんだ。いや、劣等感だとかそう言うものは感じるが、プラスに思えない。


その顔だから好きと言う、他の誰かが取れたことが俺にはできない。


少なからず、俺の知りうる人間が美少女と認識する彼女相手に、俺は何も喜べない。ハグをされても、キスをされても、彼女に対して、恋愛感情を向けることが出来ないでいる。


普通なら、喜べるはずの状況なのに俺が抱くのは劣等感と少しの苦痛。


別に彼女のことは嫌いではない。友達なら、こんな気持ちは抱かなかっただろう。


平面で、俺の事など知らなくて、一生出会うことのない“あの子”を見つめるだけの生活に戻りたい。


三次元の美少女と二次元の美少女、どちらが勝つのかなんて、論争があるなら、俺は後者派に大手を振って参戦するんだろうな。


今日も俺の横で眠る彼女は何も変わらない。

いつ見ても綺麗な顔がそこにある。


でも、俺の気持ちも変わらなくて、そんな彼女よりも“あの子”を見ていたい。“あの子”がずっと好きなんだよ。


“あの子”を知っている元同僚には「ろくでなしは彼女と幸せになるべき!」と言われた。占い師も彼女が安泰と言われた。


なのに俺は今日も彼女を好きになることができない。




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