10月31日 仕事前日
とりあえず、タイトルは日付にしておこうと思う。
今日得た気づきは彼女のまつ毛の長さが頬骨を余裕で超えていたこと。つけまつ毛と彼女のまつ毛、どちらが長いのか気になって仕方がない。
一方、俺はと言うと化粧ノリの悪さに萎えていた。ブサイクとて、日によって、そのブス度合いは変わる。24時間いつ見ても造形の整ってる彼女とは違うんだ。
そういえば、昨日だか一昨日、彼女に抱きしめられてこう言われた。
「ろくでなしくんはちゃんと格好いいよ、大丈夫だよ、格好いいからね」と。
多分、こう、まともな感性の人間なら、赤い実が弾けて、「彼女ちゃん……♡♡」とでもなるんだろう。
でも、残念ながら、俺の卑屈さは根が深い。
ブサメンがクラスのカーストトップな陽キャイケメンに「え、ろくでなしって格好いいじゃんww」と草生やされて言われたところを想像してほしい。何言ってんだこいつってなるだろ?そんな感じの気持ちを抱いて終わった。
一応は彼女が俺を褒める度に「ありがとう」だとか「嬉しいよ」だとか当たり障りのない言葉を返すようにはしているから、きっと、彼女は俺の劣等感に気づくことは無い。
でも、彼女に褒められる度に「その顔で何言ってんだ」「煽ってんのか?」と言う気持ちは拭えないし、彼女の顔を見る度に劣等感で死にたくなる。
自分の顔の皮さえ剥いでしまえば、この気持ちは緩和できるのかと思うが、どうせ、彼女は中を捌いて骨を見ても綺麗なんだろう。骨格から終わっている俺とは違う生き物なのだ。
そういや、どこから噂を聞いたのか、元同僚に彼女がいることがバレた。なんなら、彼女の顔もバレた。どっかですれ違ったんだと思う。
言われたのは結局、彼女の顔の良さについての話で、なんだか少しだけ、顔しか見て貰えない彼女の大変さがわかったような気もする。
でも、やはり、俺はその顔が羨ましいし、顔に対しての劣等感や卑屈さは今日も消えない。
明日から、新しい仕事が始まるが、ブサメンすぎて、いじめられないことを祈りたい。報連相だけはして欲しい。
まだ俺が学生だったころ、バイト先で、同じシフトだった1つ年上のイケメンと仲良くしてた時期がある。バイトを辞めると共に疎遠になったが、そいつも寝起きだろうが、髪のセットが崩れてようがとにかく顔が良かった。あと声優オタだった。
そんで、そいつと事務所内で喋ってて、確かチケの応募かなんかに協力して、それが当たって、すんごい笑顔で「ありがとう!!」って握手されたんだ。そら、ぶんぶんと。そいつ、顔は良いのに動作だけはオタクだった。
で、それを見てたアラサーの女がすんごい形相で俺を見てて、その日以降、報連相をして貰えなくなった。その女はイケメン曰くで、彼女が居ると言っても、贈り物をくれたりで困ってるとかなんとか。一回りほど、歳が離れてる相手に対して、気持ち悪いだとか迷惑だとか言わずに「困ってる」と苦笑いをしていたイケメンは人格もイケメンなんだろうなと、その時、ちょっと思った。
まあ、そのせいで、業務に支障がでて、最終的に怒られたのは俺ではなく、アラサー女だったんだが、そう言う面倒事は嫌なんだ。あ、アラサー女には顔の悪さから、元から嫌われていて、上記の流れだ。よくブサイクと言われたもんだ。
ともあれ、明日から、穏やかに働けることを願いながら、今日の日記を終えようと思う。また明日。
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