第514話 死んでも構わない 上
ちっとも休まらない移動をして三日目の夕方。温泉がある村に到着した。
温泉旅行なんて概念もない時代。訪れるのは行商人や冒険者くらい。身分がある者がくることなんて滅多にない。
けど、わたしがくると言うので急ピッチで館が造られ、村が町くらいにまで発展していた。
「ここがマルリャーヤ村ですか」
「そうね。わたしもくるのは初めてだけど、ここまで賑やかだとは思わなかったわ」
気軽に視察とかできない距離。部下からの報告ではこの空気感は伝わらないでしょうよ。
「立派な館ですね。この短期間でよく建てたものです」
わたしがきた頃から始めてはいるでしょうけど、それでも三ヶ月とちょっと。早くても半年はかかる規模の館をよく建てたものだわ。人海戦術かしら?
かなりのお金を注ぎ込んだんでしょうね。一月も滞在しないってのに。
「そうね。ちゃんと労っておかねばなりませんね」
わたしからも労いたいところだけど、ここはゴズメ王国を立てておきましょう。わたしはお客の立場だしね。会ったら感謝くらいはしておきましょう。
館の中に入ると、侍女たちが先入りしていたのか、内装や調度品も整えられていた。
「かなりの数の侍女を呼んだみたいですね」
玄関に六人となると、他にもいるってことだ。お城は大丈夫なの?
「なにが起こるかわからないからね。万全の数を呼び寄せたわ」
となると、護衛もたくさん呼んでいるわね。さすがに今回は聖騎士団は呼んでないみたいだけど。
まあ、警備のことや館のことは王妃様にお任せ。わたしは温泉を楽しむとするわ。
館はかなり広く、部屋数もかなりありそうだ。
わたしの部屋は二階にあり、部屋はかなり広い。二部屋ぶち抜いた感じね。
……こんな広い部屋でどうしろと……?
「ラグラナ。荷物を運んでちょうだい」
一月は滞在するのだから荷物は運び入れるとしましょう。
時間も時間なので最低限のものだけを運び入れたら食堂に移動した。
お城ほど豪華ではないものの、流通の悪いところでよく用意したものよね。冷蔵庫や冷凍庫があるわけじゃないのに。
肉料理がメインで、野菜スープはブイヨン的な味がする。これ、お城でも口にしたわね。料理人、お城から連れてきたの?
食べたら部屋に戻り、巫女たちを部屋に呼んでおしゃべり。いい感じになったら皆で湯浴みすることにした。
温泉は? まだ灯りの設置が間に合ってないそうなので、お湯玉を出して皆で入ることにしたのよ。
まあ、温泉でおっぱいに囲まれるために巫女たちとのお風呂は我慢してたけど、皆でキャッキャウフフと体を洗い合うならやるに決まってんじゃない。
ニヤけそうなのを必死に堪え、巫女たちのおっぱい観賞会。わたし、もう死んでも構わないわ。
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