第511話 元凶 下

「起きます」


 結構眠ったようで魔力も戻っているようだわ。


 また着替えさせてくれたようで、寝巻きを着ていた。


「お風呂、お願いします」


 スッゴい汗をかいているじゃない。熱を出したのかしら? いつもの下着じゃないから汗臭いわ。


 侍女を引き連れお風呂に。あら? 湯着を着ないの?


「はい。裸のほうが動きやすいので廃止しました」


 それはそれでスケスケが失われるのも嫌よね。布からすけるおっぱいぱい。あれは至高。美学だわ。


 まあ、直接見えるおっぱいぱいも最高なんだけどね! エルフって肌が綺麗だからなんか神々しいのよね。後ろからだーれだ? をやりたいわ。もちろん、目じゃなくておっぱいを隠すんだからね。


 なんて妄想が爆走。叫びそうになりそうなので般若心経でも唱えましょう。って、般若心経知らねーや。


「背中を流しますね」


 湯から上がり、立ったまま体を洗われた。


 寝起きだから長湯はせず、汗を流すていどで上がり、テラスで湯冷ましをした。


「──やっとこれた」


 オレンジジュースを飲んでいると、タルル様が現れた。


 任意の場所に転移できるようだけど、わたしの居場所を特定できるのかしら? わたしの頭によくいるのはそのせい?


「ご苦労様です」


「まったくだ。後始末が大変だったぞ」


 まあ、そもそもゴズメ王国の問題。当事者なんだからたくさん苦労してください。


「渦は消えましたか?」


「お前が連れていったから浄化はそう難しくなかった。ただ、被害は甚大だった」


「タルル様は知っていたんですか? 渦の元凶が妖精だったってことに」


 男に渦を宿したのは妖精だった。闇色の死に神みたいな妖精だったわ。


「遥か昔、渦に心を売ったラシャニカだ」


「ラシャニカ?」


「堕ちた妖精という意味だ」


「なるほど。堕ちたような顔をしていましたね」


 厭らしい笑みを浮かべていたっけ。


「まあ、元凶さえわかれば対抗策はあります。ただ、居場所はわかりませんけどね」


「居場所がわかればどうにかできるのか?」


「魔力さえあれば」


「どのくらいだ?」


「タルル様二十人分あると不測の事態にも対応できます」


 十人分でも可能でしょうけど、渦の本体みたいなもの。倍で挑むとしましょう。


「……本当にどうにかできるんだな?」


「奥の手を五つくらい用意されていたら無理かもしれませんね」


 一つや二つくらいなら問題なく封じ込められるわ。渦と同じ属性だったら、だけど。


「わかった。用意しよう。魔力を溜める器はあるか?」


 指輪を外してタルル様に渡した。


「二十人分は余裕で籠められます」


 容量だけはある指輪にしたわ。満杯にしたことはないものだけど。


「二十日、待てるか?」


「温泉にいってのんびりするにはちょうどいい時間ですね」


 タルル様がきたのならうちのメイドたちもそろそろ帰ってくるでしょうよ。


「わかった──」


 そう言って消えてしまった。

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