第505話 目覚め 下

「体はどう?」


「ぐっすり眠ったので消耗は回復しました」


 魔力籠めを毎日のようにやっていたから眠れば回復する体になったわ。


「お風呂、よろしいでしょうか? もう二日は入っていないので」


「二日も入れない状況だったの?」


「はい。詳しい話はあとでします」


 今はゆっくりお風呂に入って汗を流したい。もういい感じに臭っているはずだわ。


「あ、その前に白湯をお願いします。丸一日胃になにもいれてないので」


 疲れているせいか食欲がない。これは反動がくる前に胃に白湯でも入れておきましょう。


 すぐに白湯が用意され、無理にでも五百ミリリットルは飲んだ。フー。


「無理なら湯を用意するわよ」


「いえ、大丈夫です。お湯に浸かってさっぱりしたいので。服を脱がしてください。一人で脱ぐには大変なので」


 王妃様の指示で侍女たちが集まり、許可を出して聖衣を脱がしてもらった。


「それも残しておいてください。渦の力がどれだけのものだったかを検証したいので」


 物理的にやられたのか、瘴気のようなガスなのか、なんなのかを調べるために残しておかないとならないわ。


「あ、聖水を用意しておいてください。可能なら数日はお城の至るところに配置をしてください。万が一、渦の残滓が隠れていたら誰かに侵食するかもしれませんので」


 世界樹の下で存在できるとは思えないけど、万が一もある。用意だけはしておきましょう。


「わかったわ。すぐに用意するよう手配させます」


「ありがとうございます」


「感謝するのはこちらのほうよ。他国の姫を危険に晒したのですから」


「それを他言する必要はありません。ゴズメ王国だけに止めておいてください。なんなら巫女たちの手柄にしても構いません。世間に公表する事実と王家だけが知る事実と分けてください。わたしの手柄はなにもいりません」


 巫女を返せと言われたくない。幾万の感謝よりおっぱいのほうが何億倍も価値があるものだわ。


「その話はまたあとしましょうか。さあ、チェレミー嬢を湯殿に」


 侍女の案内でお城のお風呂に向かい、侍女たちに服を脱がされた。


 そう言えば、侍女たちにお風呂に入れてもらうってこれが初めてね。どういう流れなのかしら?


「お湯を流します」


 湯衣みたいな服を着た二人の侍女が桶に溜めたお湯を体にかけてくれた。裸にはならないのね。残念。


 何度かお湯をかけてもらい、汗を流したら湯に入るよう促された。


「……いいお湯だわ……」


 二人の侍女も湯に入り、入らない侍女が髪を洗ってくれた。


 頭皮もマッサージして欲しいけど、そのまま眠っちゃいそうだからこれで構わないか。


「ゴズメ王国の水は肌に優しいから好きだわ」


 水が違うのか、まるで温泉のように滑らかなのよね。どこから流している水なのかしらね?


 ハァ~。皆が戻ってくるまでゆっくりさせてもらいましょうかね。

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